FC2ブログ

腎障害時のST合剤の投与量

よく「ST合剤 腎障害」で検索される方が来られるので案内。

バクタ配合錠1錠、バクトラミン注1Aはトリメトプリム80mg含有

示した用量はトリメトプリム換算

CCr50以上
6~12時間ごとに分割して5~20mg/kg/day

50>CCr>30
8時間ごとに5~7.5mg/kg

29>CCr>10
12時間ごとに5~10mg/kg

CCr<10または透析時(HEMO、CAPD)
推奨されない
しかし使用する場合は24時間ごとに5~10mg/kg

サンフォードガイド2010より引用



ST合剤は投与後に見かけ上の腎機能低下(クレアチニンの上昇)を起こす。

トリメトプリムは腎細胞からクレアチニンが分泌されるのを阻害する効果があります。
そのため、ST合剤を使うと血清クレアチニン値が上昇することがあります。
これは腎機能の低下を意味していませんので、
そのまま経過を観察してSTを使い続けてもかまいません。

通常、クレアチニンはベースラインより
10%くらいまでの上昇を示すことが多く、
当然STをやめればクレアチニン値は下がります。
本当の意味での腎毒性は、ST合剤で起きることは極めて稀です。
覚えておいて損はありませんよ。

それとは別に、ST合剤を用いると高カリウム血症を起こすことがあります。
これはトリメトプリムが遠位腎細管からのカリウムの排泄を
妨げるからだとされています。
高カリウムを来す他の薬剤、例えばACE阻害薬などと一緒に使うときは要注意ですね。

岩田 健太郎,宮入 烈,抗菌薬の考え方,使い方 ver.2,中外医学社,pp186より引用 一部改変



↓医薬品・薬剤師に関するブログランキングです。クリックしていただけるとやる気が出ます。
にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村


関連記事

テーマ : 薬・医者・病院等
ジャンル : 心と身体

tag : 薬の豆知識 腎機能と薬物治療 抗菌薬

ユナシンSの投与法の違いによる%T>MICの比較(机上の空論)

ユナシンS静注用(スルバクタム・アンピシリン)は投与法に幅があって、
どの投与法が適しているのかいまいち判断し難い。

以前の記事で紹介したエクセルファイルによるTime above MIC%の式で
ユナシン3gを12時間ごと、3gを8時間ごと、1.5gを8時間ごとで
グラフを作ってみた。

3g静注の薬物動態データがなかったので、
推測した値をいれているのであくまでも机上の空論です。
さらにワンショット静注でのデータだから点滴時間を長くしたら、
全然違う結果になるだろうと思う。



Googleスプレッドシートの使い方(グラフの作り方)がいまいちわからずかなり手こずった・・・。
しまいにはエクセルのグラフも作れくなる始末。
結局なんとかなったが1時間半くらいかかった。

2010/01/10更新
3g6時間毎のグラフも追加しました。

見本ファイルは
https://spreadsheets.google.com/ccc?key=0AoAQ3_5v0ZNrdFpvaS1uTzQ2TVNKVFhQdzAtV1l6SGc&hl=ja

↓医薬品・薬剤師に関するブログランキングです。クリックしていただけるとやる気が出ます。
にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

関連記事

テーマ : 薬・医者・病院等
ジャンル : 心と身体

tag : 抗菌薬 薬物動態

マクロライドはグラム陽性菌の耐性を共有している

先日の記事でコメントに質問が上がったため出典を残しておきます。

1つのマクロライドに耐性を持ったグラム陽性菌は
他のマクロライドにも同時に耐性を持っています。

マクロライドはグラム陽性菌の耐性を全てシェアしています。
どういうことかって?
つまり、いったんエリスロマイシンに
A群溶連菌の耐性ができてしまうと、
それは同時にクラリスロマイシンやアジスロマイシンへの
耐性の獲得を意味するのです。

エリスロマイシンが効かないから、
アジスロマイシンというのは愚かな選択肢なわけです。

日本でのある研究によると、小児のA群溶連菌の60%はマクロライドに
高度耐性があったそうです。
米国のガイドラインにはペニシリンアレルギーのある患者さんに対する
A群溶連菌の治療はマクロライドが第一選択ですが、
これは日本では当てはまらないように思います。
日本のドクターが使い過ぎたマクロライドのツケが
ここにまわってきているのですね

岩田健太郎,宮入烈(2006),抗菌薬の考え方・使い方 ver2,中外医学社,pp498より引用 一部改変



重要な点として
「1種類のマクロライドへの耐性があれば、基本的に他のマクロライドについても耐性」
と考える必要があります。
特に日本国内ではマクロライド耐性の肺炎球菌が70%程度あるため、
市中肺炎で肺炎球菌をか習うカバーすべき場合、
マクロライド単剤では治療に失敗する可能性があります。

大野博司(2006)感染症入門レクチャーノーツ,医学書院,pp188より引用



↓医薬品・薬剤師に関するブログランキングです。クリックしていただけるとやる気が出ます。
にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

関連記事

テーマ : 薬・医者・病院等
ジャンル : 心と身体

tag : 薬の豆知識 抗菌薬

抗菌薬の%T>MICを簡易的に計算するエクセルファイル

2003年の論文なので古いかもしれないが、
簡易的に抗菌薬の%T>MIC(Time above MIC%)を計算する方法が
薬局2009年1月号に掲載されていた。

もとの論文は
小松方,中村彰宏ほか:Pharmacokinetics/pharmacodynamics parameter算出プログラムの開発と,MIC値を活用した新しい感染症治療ガイドライン作成の試み
http://www.antibiotics.or.jp/jara/journal/old_contents/Volume%2056/jja56697.pdf

ネットを探してもエクセルファイルがなかったのでとりあえず作ってみた。
https://spreadsheets.google.com/ccc?key=0AoAQ3_5v0ZNrdFpvaS1uTzQ2TVNKVFhQdzAtV1l6SGc&hl=ja

http://ploop70.web.fc2.com/pkpd.xls

上記2つは同じものです。

Keの算出方法をCL/Vdに変更。

誤差10%くらいあると考える。
坂野昌志,寺井文廣,PK-PDパラメータ「%T>MIC」を計算する・使う,薬局Vol60. No1 2009 p49-53



ペニシリン系のTAM目標値 増殖抑制=30%以上 最大殺菌作用=50%以上
セフェム系 増殖抑制=40% 最大殺菌作用=60~70%以上
カルバペネム系 増殖抑制=30% 最大殺菌作用=40~50%以上

現在はモンテカルロシミュレーションという方法で
投与設計を行うのがよいみたいだが、
勉強不足であまり知らないのでとりあえず簡単なやつからやってみた。

↓医薬品・薬剤師に関するブログランキングです。クリックしていただけるとやる気が出ます。
にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

関連記事

テーマ : 医療・病気・治療
ジャンル : 心と身体

tag : 薬物動態 抗菌薬

アジスロマイシン(ジスロマック)の体内動態

今更知ったがジスロマックの体内動態が生体のDDSともいうべきもので、
信じられないくらい効率がいいシステムだった。

アジスロマイシンは分子内にアミノ基(ラクトン環およびデソサミンのアミノ基)を2つ有しており、
アルカリ性条件下では主に分子型、酸性条件下では電価を帯びた型(イオン型)で存在する。
生体内のpHは、細胞外pH7.4、細胞内pH7.2、細胞中のリソソーム内pH4.5~6.0に保たれており、
細胞外の分子型のアジスロマイシンが細胞膜を通過すると、
細胞内は細胞外に比べて、ややpHが低いため、
細胞外に比ベイオン型の割合が多くなる。
さらに、分子型のアジスロマイシンがリソソーム膜を通過すると、
pHが低いため、リソソーム内では多くのアジスロマイシンがイオン型で存在する。
イオン型のアジスロマイシンは生体膜を通過できないため、
結果として細胞内およびリソソーム内に集積される。
食細胞の遊走によりアジスロマイシンは食細胞内に取込まれた状態で感染病巣へ運ばれる。


ジスロマック1

感染病巣において食細胞が細菌を貪食した結果、食細胞内にファゴソームが形成され、
リソソームと融合しファゴリソソームとなる。
ファゴリソソーム内のpHは中性付近となりリソソーム内で
イオン型であったアジスロマイシンは分子型となり、
食細胞からの遊離が促進されるものと考えられる。
結果、感染病巣内の濃度が高くなる



ジスロマック2

ジスロマックインタビューフォームより 一部改変



2010/12/23更新
15員環マクロライドのアジスロマイシンは他のマクロライドに比べて極性が高く、
肝で代謝を受けずに未変化体として胆汁中に排出される。
しかし炎症組織での半減期は長いため、3日間の経口投与で7日間の抗菌作用を発揮するとされている。

これはアジスロマイシンがヒト多核白血球およびマウスマクロファージなどの
食細胞へ高濃度に取り込まれるためである。
(エリスロマイシンに比較して約10倍高い)

アジスロマイシンでは食細胞によって感染病巣へ運ばれ、
細菌の貪食の際に遊離され効果を発揮するため、
感染病巣内濃度は高く維持し、
また投与後145時間(約6日)においても
感染病巣内濃度は非感染組織の19倍高い値を示す。


杉山正康,(2010),薬の相互作用としくみ第9版,医歯薬出版株式会社,pp68より引用 一部改変



ジスロマックは感染病巣に特異的に集積するという素晴らしい性質を持っている。
まるで魔法のようだ。

注意すべきは同じマクロライド系に交叉耐性を持つところだ。
特にグラム陽性菌はエリスロマイシンやクラリスロマイシンに耐性だと
ほとんどジスロマック(アジスロマイシン)にも耐性である。

クラリスがダメだったからジスロマックという選択肢は
あまり勧められるものではない。
(ほとんどそういう例は見たことがないけど)

↓医薬品・薬剤師に関するブログランキングです。クリックしていただけるとやる気が出ます。
にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

関連記事

テーマ : 日記
ジャンル : 日記

tag : 薬の豆知識 抗菌薬

カウンタ
プロフィール

テツ

Author:テツ
僻地の小規模病院の薬剤師です。


ブログ引っ越ししました。
https://bipop.net/

全記事(数)表示
全タイトルを表示
人気記事ランキング
最新記事
カテゴリ
RSSリンクの表示
月別アーカイブ
タグ

日記・雑記 薬の豆知識 レビュー ジェネリック医薬品 薬の要点 薬の比較 便利 緩和ケア 気になる記事 降圧薬 腎機能と薬物治療 薬価 抗菌薬 利尿薬 鎮痛薬 雑誌「薬局」 漫画 アンケート 医療用麻薬 ジェネリック医薬品メーカー 調剤 日病薬誌 薬物動態 インターネット 音楽 ステロイド 抗うつ薬 エクセル 脳梗塞治療 喘息・COPD 薬の感想 薬剤管理指導 android 輸液 糖質制限 ハイリスク薬 抗不安薬 糖尿病 ローカルドラッグ 腎機能 ACCESS 新薬 医療安全 お得 簡易懸濁法 医薬品の価格 抗血小板薬・抗凝固薬 ワクチン 院内感染対策 薬の管理 育児 ゲーム 配合変化 点眼薬 名前の由来  病院機能評価 

最新コメント
*iphone アプリ 開発
*太陽光発電 ブログパーツ by Google Fan