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プラビックスのジレンマ(2012/10/5)

2012/10/5更新
コメントを頂いてネット検索してみましたが、
プラビックス(クロピドグレル)のCYP多型による影響は
考えられているより少ないかもしれないという記事がありました。

クロピドグレル群においてCYP2C19機能喪失型対立遺伝子を
有する患者における心血管イベント発症率は11.2%/年、
それ以外の患者において10.0%/年でした。

http://www.astrazeneca.co.jp/activity/press/2010/10_08_31.html



六号通り診療所所長のブログ
CYP2C19の多型とクロピドグレルの効果について
http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2011-08-24




以下2011/1/20記載
プラビックスを飲んでいても再発した非心原性脳梗塞の患者さんに、
どういう抗血小板療法がいいのか聞かれたが、
難しくてはっきり答えられなかった。

この機会に脳梗塞の慢性期の抗血小板療法(主にプラビックスとアスピリン)まとめ。

アスピリンは慢性期の脳梗塞を減らすが、
本当に「再発予防」できる人は限られている。

 抗血小板薬は脳梗塞の再発を有意に低減することが
欧米人を中心とするデータベースにより示されている(Ⅰa)。
ただし、アスピリンおよびチクロピジンの
number needed to treat(NNT:その治療をある期間続けることによって
1人の患者が恩恵をこうむるために必要な投薬患者数)は
約3年間の観察で26~28に過ぎない。
またシロスタゾールも同じく3 年の観察でNNTは18.7と
降圧薬とほぼ同程度のNNTである。

脳梗塞の再発予防には抗血小板薬の投与のみならず、
高血圧症など他の危険因子の治療も重要である(Ⅰb)。

脳卒中ガイドライン2009より
http://www.jsts.gr.jp/guideline/103_109.pdf



脳梗塞が起きた患者26人を低容量アスピリン3年間投与して、
再発予防できるのは1人。
残り25人は投与していても再発する。

脳梗塞をおこした患者100人いたら何もしなければ22人発症
低容量アスピリン投与でそれが18人に抑えられるくらいの効果。

プラビックスはアスピリンと比較すると
約2年で心血管イベント(脳梗塞、心筋梗塞、血管死)が
プラビックス:5.32%
アスピリン:5.83%

相対リスク減少8.7%

抗血栓療法トライアル CAPRIE試験 1996
http://www.ebm-library.jp/att/detail/60242.html



ハイリスク者に限ればもう少し効果がよくなるらしいが、
それでも予防効果はアスピリンより少しだけ高いくらいか?

On-treatment解析による相対リスク低下率は9.4%、
NNTは196人/年であった
[実際の臨床例では絶対リスクがより高いことなどexternal validityを勘案すると、
NNTは70人/年となる(CAPRIE Actual Practice Rates Analysis Study Group)]。

脳梗塞既往例のみについてみると、
クロピドグレル群の虚血性脳卒中、心筋梗塞または血管死の発生の
相対リスク低下率は7.3%(p=0.26)、
脳卒中発生の相対リスク低下率は8%(p=0.28)であった。


脳卒中ガイドライン009
http://www.jsts.gr.jp/guideline/103_109.pdf



NNTが200人程度だと、
「アスピリンからプラビックスに変えたことで発症しなかった人」は
1年で1/200となかなかコストパフォーマンスが悪く見える。

脳梗塞既往のみだとアスピリンと有意差がない模様・・・。

また症候性動脈硬化性疾患(虚血性脳卒中あるいは心筋梗塞)の既往を有する
ハイリスク例における虚血性脳卒中、心筋梗塞または血管死の発生率(3年間)は、
クロピドグレル群20.4%、アスピリン群23.8%。
クロピドグレル群の相対リスク低下率は14.9%であった(95%CI 0.2~7.0%)
(p=0.045)(NNTは3年の観察で29。

但しこの研究の対象には日本人は含まれていない。

脳卒中ガイドライン2009より



ハイリスクなほどプラビックスが有効になると考えて良さそう。

副作用(出血イベント)は少しプラビックスのほうが少ない。
ただしこれはアスピリン325mgとプラビックスの比較。

[消化管出血:0.49% vs. 0.71%(p=0.05)](Ⅰb)。
脳卒中ガイドライン2009より



プラビックスはアスピリンを「はるかに上回る」効果はなさそうだという印象。
副作用も日本でのアスピリン用量をかなり超えている用量なので、
アスピリン100mgだったら有意差つかないんじゃないだろうか。

ただ、MRさんは「アスピリンよりはるかにいい薬です」と勉強会で言って、
医師も鵜呑みにしている感がある。

相対リスクじゃなくて絶対リスク低下とNNTを教えてくれと質問しても、
そのMRさんは資料がなくわからなかった模様。

そして一番心配なのがCYP多型のこと
内科開業医のお勉強日記:CYP多形型とClopidogrel(プラビックス)の治療効果
http://intmed.exblog.jp/7839512/

CYP2C19の機能が低い人(Poor Metabolizer)は
クロピドグレルが活性代謝物になれず
明らかにイベント抑制効果が劣るようだ。

そして日本人にはPMの人が20%存在する。

FDAの文書によると,クロピドグレルは肝臓のCYP2C19を介して
活性代謝産物に変化することからPM保有者の場合,
抗血小板作用が十分に得られず,心臓病や脳卒中,
心血管死の予防効果が減少する恐れがあるという。


同遺伝子のPMを保有する人の割合は人種により異なるが2~14%といい,
日本では20%程度存在するとも言われている。

同遺伝子の*2から*8のアレルのうち2つを有する場合にPMと診断される
。FDAが示したデータによると,
最も多く見られる多型は*2と*3でPMを有する白人の85%,
アジア人の99%にこれらのアレルが存在するという。

米FDAがCYP2C19代謝活性欠損者に対するクロピドグレルの安全性情報
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1003/1003048.html



MRさんは連続投与していれば徐々に効いてくるというようなことを言っていたが、
何を根拠に言っていたのかは不明

プラビックス服用者の脳梗塞再発時に急性期の再発予防薬として
脳卒中ガイドライン2009で推奨されているのは、
アスピリンのみなのでとりあえずアスピリンを投与するが、

プラビックスを信じきれないので当分併用したほうがいいのか、
プラビックスが効いていても発症した人なのか
プラビックスが効いていないから発症したのか

どう判断したらいいのかわからん。

薬価が高いのも問題
プラビックス275.8円:バイアスピリン5.8円
プラビックスの1日薬価はバイアスピリン47日分

アスピリンとプラビックスの併用は出血イベントが増えるらしく、
あんまり長期的に使いたくない。

プレタール(シロスタゾール)も脳梗塞再発予防効果があるが、
頻脈による心負荷増大が気になるし、
ただでさえ高齢者は心不全が多い。
βブロッカーで調節しながら投与すればいいのだろうか。

もし患者さんに心不全がなく徐脈だったら使いやすいから、
プラビックスとプレタール併用が再発予防「だけ」考えれば良さそうだが、
出血イベントのリスク上昇がどれくらいかわからないのでそれも不安。

というのが最近の悩みになっている。

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プレタール(シロスタゾール)の脳梗塞再発予防効果

以前の記事でプラビックスとアスピリンについて調べたので、
プレタールについてもまとめてみる。

まず シロスタゾール vs プラセボのCSPS試験
この試験は「相対リスク」41.7%低下というものすごい効果を発揮しているような
宣伝文句だが実際にどうだったんだろう。
相対リスクから本当の効果は見えてこない。

このページの中盤に載っているが、

プラセボ:年5.78%の脳梗塞発症
シロスタゾール:年3.37%の発症率
ということで41.7%の相対リスク低下
3年間のNNTは18.7なので
18.7人を3年間シロスタゾールで治療すれば一人の発症を防げる。


2012/2/8訂正
今更気づいたがNNTが18.7なんだったら
100/18.7で絶対リスク低下は約5.35%である。
なんともあほらしい推測をしていた・・・。


絶対リスク低下は原著の論文が読めないので画像から推測してみる。

日経メディカルのサイトより引用して比較
シロスタゾール

この発症率で計算すると若干NNTと相対リスクがずれるので、
実際の発症率はプラセボがもう少し多いかシロスタゾールがもう少し少ないかもしれない。

大雑把に考えるとプラセボ発症率14%
シロスタゾール発症率8%
くらいか?(NNTは16.7なので少しずれてる)

抗血小板薬を飲まなければ3年で100人中14人が発症するが、
シロスタゾールでそれが8人に抑えられる。

さらにプラセボ比較で脳出血の優位な増加がなかったとのこと。
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/csps2/outline.html

次は
CSPS2という シロスタゾール vs アスピリン の試験
これはちょっと面倒なので
内科開業医のお勉強日記から引用

primary endpoint(卒中初回再発発症(脳梗塞、脳出血、SAH) 
年次発生:シロスタゾール  2・76% (n=82)、
アスピリン 3・71% (n=119)
(hazard ratio 0・743, 95% CI 0・564?0・981; p=0・0357)


出血性イベント(脳出血、SAH、入院必要出血イベント):
シロスタゾール(0・77%, n=23)、
アスピリン  (1・78%, n=57; 0・458, 0・296?0・711; p=0・0004)

頭痛、下痢、動悸、めまい、頻拍はシロスタゾール群でより頻度多し


内科開業医のお勉強日記:CSPS 2 group:シロスタゾール二次予防アスピリン対照二重盲検非劣性トライアル
http://intmed.exblog.jp/11263357/



CSPSと違って脳梗塞だけではなく脳卒中全般を1次エンドポイントに設定している。
それで脳卒中再発の相対リスクが26%低下と宣伝されている。

脳梗塞を減らし、脳出血を増やさないという
シロスタゾールのいいところが結果に出たっぽいな。

CSPS2
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/special/csps2/result.htmlより引用

前の記事でプラビックスを少し調べたが、
効果だけみればプラビックスよりいいような気がしてきた。

先発薬の薬価だと
プレタール錠100mg1日2錠で379円と
プラビックス錠75mg1錠の275.8円よりかなり高額。

しかしプレタールにはジェネリックがあり、
シェアが(たぶん)多いシロステート(日医工)やアイタント(東和)を使えば
1日110円くらいで済む。

最近ほぼ全てのジェネリックにも脳梗塞再発予防の適応が追加された。

ただしプレタールに製剤特許など特殊な加工がしてあったりすると、
代替えになるかどうかは不明。

出血性の副作用が少ないので後は
PDE阻害による心負担増大(頻脈)が大きな心配事。
プラビックスはその心配をしなくて良い。

だけどCYP多型の問題で
日本人に効くかどうかいまいち信じきれないプラビックスより、
日本人できっちり結果を出しているプレタールを
信頼してもいいかもしれないと思った。

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tag : 薬の要点 脳梗塞治療

脳梗塞急性期に降圧しない理由の一つ スチール現象

日本高血圧ガイドライン2009には脳梗塞急性期に降圧しない(血圧を下げない)理由の一つとして
下記の理由が載っている。

虚血部は血管麻痺の状態にあるために,
血管拡張作用を有する薬物は健常部の血管のみ拡張し,
病巣部の血流は逆に減少する,
いわゆる脳内スチール現象を生ずることがある。
これらのことより,脳血管障害急性期には積極的な降圧治療は原則として行わない



このスチール現象を言葉だけでは人に説明しにくいので、
図を作ってみた。
降圧薬のスチール現象


2次元的で余計わかりにくくなったかもしれない。

とりあえず
脳梗塞急性期に血管拡張薬を投与すると、
正常な脳血管は拡張しやすいが、
虚血部位は拡張しない。

それによって血管拡張した血管(血液が流れやすい血管)にばかり血液が流れるようになって、
虚血部位の血流は余計に減ってしまう。
→脳梗塞悪化の可能性

というのがスチール現象だと思う。


急性期に血圧を下げない理由のもう一つは

高血圧に伴い脳血流自動調節域は右方へシフトしているが340),
脳血管障害急性期には自動調節自体が消失し,
わずかな血圧の下降によっても脳血流は低下する。
すなわち,降圧によって病巣部および
その周辺のペナンブラ領域(血流の回復により機能回復が期待できる可逆性障害の領域)の
局所脳血流はさらに低下し,病巣(梗塞)の増大をきたす可能性がある



というものだが、
まだ自分で完全に理解できているわけではない。

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tag : 脳梗塞治療 降圧薬

脳梗塞発症後の降圧薬開始時期

脳梗塞急性期は基本的に血圧を下げないほうが
機能予後が良いとされている。

下げるとしても

脳梗塞急性期では、収縮期血圧>220mmHgまたは
拡張期血圧>120mmHgの高血圧が持続する場合や、
大動脈解離・急性心筋梗塞・心不全・腎不全などを
合併している場合に限り、慎重な降圧療法が推奨される(グレードC1)。
脳卒中治療ガイドライン2009
http://www.jsts.gr.jp/guideline/007_008.pdf



のような基準で降圧薬が投与される。
心不全、腎不全時の降圧薬の投与の可否もなかなか悩みどころ。

しかし急性期をすぎたらいつ降圧薬を開始していいのかが、
よくわからない。
いったいいつまで急性期でいつから慢性期なのか。
理論的にはペナンブラの状態が良いほうか悪いほうのどちらかに固定されてしまえば
降圧したほうが良いと思うが、判断基準がわからんし・・・。

一般的には脳梗塞発症後一ヶ月経ったら降圧薬を開始する方法を
とっている気がするが根拠はあるのかと外科系の医師に聞かれたので、
ここにも記録しておく。

脳血管障害慢性期(発症1か月以降)では,
降圧最終目標(治療開始1-3か月)は140/90mmHg未満とする。
緩徐な降圧がきわめて重要であり,臨床病型(脳出血,ラクナ梗塞など),
脳主幹動脈狭窄・閉塞の有無,脳循環不全症状の有無に留意する。
両側頸動脈高度狭窄,脳主幹動脈閉塞の場合は,
特に下げすぎに注意する必要がある。
ラクナ梗塞や脳出血では140/90mmHgよりさらに低い降圧目標とする。

日本高血圧ガイドライン2009
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0019/1/0019_G0000180_0040.html



ガイドラインに明記してあるので「一ヶ月が一般的なんですよ」と説明しやすい。
いわゆる脳梗塞の慢性期というのは発症一ヶ月以降のことを指しているようだ。

日本高血圧ガイドライン2009
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0019/1/0019_G0000180_0040.html
ここの表6-1に

急性期(発症1-2週間以内)


という記載と
注釈で

急性期治療が終了する1-2週後から開始することもある。


と書いてあるので、
絶対1ヶ月待つわけでもなく、
早期に降圧する例があってもいいかもしれない。

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