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アセトアミノフェンの内服と坐剤の薬物動態

アセトアミノフェンの剤形によるバイオアベイラビリティの違いが
以前から気になっていたが調べるのを忘れていた。

まず、2007年にアセトアミノフェンの全製剤が小児に使用可能になり、
投与量も内服・坐剤ともに1回10~15mg/kgになったようだ。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/200704/503016.html

http://www.abbott.co.jp/medical/product/ppg/housou/0712_acet.pdf

同じ投与量でいいということは内服も坐剤も
バイオアベイラビリティ(AUC)は同じということと考えてよさそうである。

元々アセトアミノフェンは経口投与で90%以上の
バイオアベイラビリティが得られるようだ。

経口投与後のバイオアベイラビリティは約 90%
サールツーシロップ小児用 インタビューフォームより


具体的な資料として内服はカロナールの添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1141007F1063_2_01/

坐剤はアンヒバのインタビューフォーム
http://www.abbott.co.jp/medical/product/ppg/interview/if_anhiba.pdf

比較すると

AUCCmaxTmax半減期
カロナール錠400mg19.03±2.45 9.1±2.9 0.46±0.19 2.36±0.28
アンヒバ坐剤400mg20.36±1.754.18±0.311.60±0.162.72±0.26


カロナールの血中濃度推移
カロナール

アンヒバの血中濃度推移
アンヒバ

やはり内服と坐剤のAUCはほぼ同じ。
内服に比べて坐剤のほうがTmaxが遅く、Cmaxが低い。

試験を行ったのが別々の会社で試験条件や製剤なども
全然違うのでそのまま受け入れるのはまずい。

ただ、このまま解釈すると座薬のほうが緩やかに長く効いて、
内服のほうが即効性で短時間ということになる。

カロナール坐剤の添付文書を見ても200mgでTmaxは1.3±0.1hrなので、
坐剤の効き目が内服に比べてやや遅れるのはあるのかもしれない。

井蛙内科開業医/診療録(3)というブログにも
アセトアミノフェンの経口か直腸投与かで解熱の指標に違いがあるか
載っていた。

投与後1時間および3時間の体温低下、
体温が1℃低下するまでの平均時間、
および最大の体温低下(2研究)では差がなかった。
http://wellfrog3.exblog.jp/10343012/


結局薬物動態に多少の差があっても
アセトアミノフェンの解熱効果にそれほど大きな差はないと見て良さそう。

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一番嫌な仕事

病院薬剤師の仕事というブログにデュロテップMTパッチの適正使用について記事が載っていた。
http://reboundex.blog100.fc2.com/blog-entry-398.html

ヤンセンのHPの適正使用のお願い
http://www.janssen.co.jp/info/20100722_DrtMT.pdf

普通じゃ考えられない「トンデモ処方」な症例もある。
症例1はオピオイド初回投与でデュロテップ8.4mgを貼って、
2時間様子観察して帰宅させている
デュロテップMTパッチの最高血中濃度は30~36時間(添付文書)なので、
医師は麻薬初回投与で注意を払ったのかもしれないが、
注意するべきなのは投与後数時間の様子ではなく投与量だったと思う。

もし2.1mgなら経口モルヒネ30mg前後だから呼吸抑制が起きることは少ない。
様子観察するにしてもTmaxが30~36時間なので
2日間は入院させてないとダメな気がする。

病院薬剤師として働いていて一番「嫌だなぁ・・・」と思うときは
医師のトンデモ処方(トンデモ指示)をどうやって修正するか考えているときだ。
「間違ってますよ」というのを柔らかく伝えないといけない。

特に常勤ではなく非常勤の医師だと人柄がわからないのでめっちゃ緊張する。

例えばアダラートカプセル舌下の指示がでたとき。

当院は採用してないが、その指示自体に「おいおい今時舌下ですか・・・」的な、
ことを思うがそれをそのまま伝えるわけにもいかない。
最低限アダラートLにしてもらいたいのでどうやってその指示に変えてもらうか、
ちゃんとした言葉遣いと自分が適切だと思う根拠の伝え方を考えるのに一苦労。
たいがい上手くいくが、精神的には疲れる。

あと個人の倫理的にどうかなぁと思うような処方も困る。

例えば発熱にメチロン注の指示。
メチロンが禁忌ではない症例でも
もっと適切な薬物(アセトアミノフェン座薬など)があるとしたら
医師に助言するかどうか数秒~数分くらい迷うと思う。

このように間違いではないが医師に言うのがなかなか難しいような指示は
医師に助言するかしないか迷うときがある。
この言うか言わないかの閾値が自分の忙しさ、疲れ具合などによって
変わることがあるので確固たる信念と根拠の把握が必要だ。


2010/8/4 追記

緩和ケア医の日々所感というブログにデュロテップパッチのことが載っていた。
http://blog.goo.ne.jp/e3693/e/b5fb646fcacb05d1d9e909967af14b83
オピオイド未投与の患者にデュロテップMTパッチ換算で33.6mgを投与して、
呼吸抑制が出なかった事例もあるらしい。
私はデュロテップMTパッチ8.4mg初回投与で「極端な」例だと思ったが、
狭い範囲の知識で考えただけで、
実際は行われるようなことなんだろうか。

何年か前に国立がんセンターの服部政治Drの研修会を聞いた。
そこではオピオイドの感受性は人によって違うので、
痛みが強い(強そうに見える)からオピオイドが大量にいるかというと、
そうでもないので慎重に投与したほうがよいという内容が出てきた気がする。
自分はそのときの知識を引きずって判断していた。
もしかすると勘違いかもしれないが。

医療って覚えたことと反対の内容を後から学ぶことが多い。
「これは絶対そうだ!」と決めてかかったときほどそういうことがあるので、
謙虚にいかないとな・・・。



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フェントステープの使いどころ

2011/01/06追記
フェントステープの基本情報はお薬110番を御覧ください。




取引先の複数の卸さんからフェントステープを勧められているが、
デュロテップに比べていいところがあまりないような・・・。

貼りやすさ、はがれにくさとお風呂に毎日長くつかりたい人はいいのかもしれない。

日経メディカルの記事には

痛みの程度や副作用症状が比較的短時間に変化する患者などにおいては、
24時間ごとに投与量を微調整できるフェントステープの方が
使いやすい場合があると考えられている。


とあるが

フェントステープの添付文書の用法・用量に関する使用上の注意に

本剤初回貼付後及び増量後少なくとも2日間は増量を行わないこと。
[連日の増量を行うことによって呼吸抑制が発現することがある。]


とも書いてあるので、1日ごとに増量していくのはあんまりやりたくない。
実際の臨床では1日~2日ごとの増量が行われるんだろうけど。

デュロテップは短期的な調節が難しいところが欠点なので、
フェントステープはそれを埋めるのかと思っていた。

薬剤師側の都合になるが、一番好ましくないのが、
デュロテップMTパッチとフェントステープ両方採用すると、
金庫の場所を取るし計数や記録などの管理も面倒になる。
1日ごとになると使った後の製剤や未使用分の回収も
数が増えて結構時間がかかってしまう。

患者さん側のメリットがはっきりしてからの採用になるだろう。

薬価は
フェントステープ2mg*3=デュロテップMTパッチ4.2mgという設定だと
3190.8円:3467.8円でフェントステープのほうが安い。

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デュロテップパッチ(フェニタニルパッチ)へのオピオイドローテーション

モルヒネやオキシコドンからデュロテップパッチへの切り替え量が、


添付文書に載っているが、


初回切り替え量は過量防止のため低くしてある。
龍原 徹(2009)ポケット医薬品集2009 白文舎 258pp


血中濃度なかなか下がらないからか。


勉強会でも添付文書通りの切り替え量だと50%の人に痛みが出ると聞いたことがある。



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オキシコドン(オキシコンチン、オキノーム散)の腎障害時のAUCとCmax


腎障害者腎障害者12例(クレアチニンクリアランス:60mL/min未満)にオキシコドン塩酸塩徐放錠20mgを空腹時単回経口投与したとき,AUC並びにCmaxはそれぞれ健康成人の約1.6倍及び1.4倍であった。腎障害者の鎮静作用は健康成人に比べて増加傾向を示した8)。(外国人によるデータ)

オキシコンチン添付文書より


なんとなくポケット医薬品集2009読んでハッとした。


添付文書に書いてあったんだな・・・。


がん疼痛治療のレシピ2007読んで、


「オキシコンチンとオキノームは腎障害でも全く問題ない」と大きな勘違いをしていた。



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ポケット医薬品集(2009年版)

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