ロセフィンの成人投与量は1日1回1gでよい(?)

サンフォードガイド2010を見ていたら、
セフトリアキソンの成人投与量が1日2gじゃなくて1日1gを1回だった。
髄膜炎など重症感染症なら投与量を増やす必要があるのかもしれないが、
通常はこの投与量でいいのか。


情報が古いが
サンフォードガイド2006では

65歳以下1日1回2g
65歳以上1日1回1g
1gを12時間ごとに投与するよりも
2g1日1回のほうが組織濃度良好(蛋白結合を上回る)



というように掲載されていた。

1日2回より1日1回のほうが看護師、薬剤師の手間が減り
患者さんが点滴につながれている時間も減る(ことがある)ので
医師に紹介して基本的に1日1回2gで投与してもらっていた。

1日1回1gだったらバッグ製剤準備して点滴ルート繋げばいいので、
もっと手間が減る。

最近発売された亀田総合病院の総合診療・感染症科マニュアルにも
市中の誤嚥性肺炎にたいしてセフトリアキソン1g/日と載っているので、
通常の感染症なら1日1回1gでいいようだ。

セフトリアキソンは投与回数が少なく、
腎機能に関係なく投与できて、
「通常の感染症なら大体治ってしまう」ので
自分の病院では他の注射用抗菌薬に比べて
使用頻度が非常に高くなってしまっているのが最近の悩みどころ。


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tag : 抗菌薬

噛んだものを子供に与えるのはやめよう



まだ自分で食事のできない小さなこどもに食べ物を与えるときに、
先に大人が自分の口の中で温度をたしかめつつ
噛み砕いたりする(Premastication of Food)ことは、
HIV感染症のリスクになる、
ということについての疫学調査が米国CDCのMMWR最新号に掲載されています。

中略

HIV以外では、B型肝炎ウイルス、
グループA溶連菌の感染が同様のルートで記録されています。
また、同様のリスク行為での感染は、ヘリコバクターピロリ、
ミュータンス菌、ヘルペスウイルス、EBウイルスについても
関連が指摘されています。


感染症診療の原則:かみかみ アーン
http://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/70e41b6e518caaaa9eddb82a82d38fec



正直言って
今時噛んだものを子供に与える人は情弱と言わざるを得ない。

自分のこどもだけにやるならまだいいんだけど、
人のこどもに自分が食べかけてるものや
自分が食べてる食器で食べさせるのは絶対やめて欲しい。

親族には注意しているが、
近所のおじさんおばさんは不意にやるからマジで怖い。

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抗菌薬の添付文書はどこが間違っているのか 岩田健太郎 続き

前回の記事の続き


添付文書通り使わねばならないのか?

 医薬品の添付文書とは,一体何者であろうか。
医薬品に閔する添付文書は,薬事法によってその記載事項は濃密に規定されている。

しかし,添付文書そのものの定義は法文上では見つけることができない。
薬事法の文面を読む限り,添付文書の属性は理解できるが,
それが果たして何者なのかは判然としない。

 そして私の知る限り,医薬品の添付文書は医師や薬剤師を法的に拘束するものではない。

言い換えれば,「添付文書通りに医薬品を使用しなかったこと」
そのことそのものを違反とし罰する法律は存在しない。
添付文書通りに抗菌薬を使用しなければならない義務は,
医師や薬剤師にはない。

もちろん,「安全に」医薬品を用いる義務は当然あるが,

しかし,不適切な記載の多い日本の添付文書通りの診療が患者の安全を担保しない以上,
安全な医薬品使用と添付文書の遵守は同義ではない。

 しかし……,という反論はあるだろう。
確かに添付文言の遵守は医療者の義務ではないが,
実際に保険診療上,審査で切られてしまう。

岩田の意見は机上の空論ではないか,と。

 しかし,これに対する回答も実は存在する。
それが55年通知である。
55年通知とは,添付文書上の記載がない医薬品の使用法でも,
学術上,誤りがなければ支払基金が支払いを認めたという,
当時の厚生省保険局医療課長通知であるl°)。

 1 保険診療における医薬品の取扱いについては,厚生大臣が承認した効能又は効果,
用法及び用量(以  下「効能効果等」という。)によることとされているが,
有効性及び安全性の確認された医薬品(副作用報告義務期間又は再審査の終了した医薬品をいう。)を
薬理作用に基づいて処方した場合の取扱いについては,
学術上に誤りなきを期し一層の適正化を図ること。

 2 診療報酬明細書の医薬品の審査に当たっては,厚生大臣の承認した
効能効果等を機械的に適用することによって都逆府県の間において
アンバランスを来すことのないようにすること。

 2002年に武見敬三が,この通知は今も有効であることを確認している11)。

(前略)これは昭和11伺・五年九月三11付け保険局艮 通知,「保険診療における医薬品の取り扱いについて」とい うところで,
いわゆる適応外処方に関して医師の裁量性を尊重することが確認をされております。
            (中略)
 適応外処方についての医師の裁量性を認めた局長通知であるというふうに私は理解をしているわけでありますが,こ の保険局長通知というのは今日も有効だと私は考えるわけでありますが,
この点についての確認をさせていただきたいと思います。

(政府参考人)先生御指摘の通知は社会保険診療報酬支払基金の理事長あてに
保険局長から提出したものでありますが,
今,先生御指摘ありましたように,保険診療におきます医薬品の取扱いにつきまして,
効能効果等により機械的に判断するのではなく,
忠者の疾患や病態等を勘案し,医学的な見地から
個々の症例に応じて適切に判断が行われるべきものというふうに考えております。

 従って,学術的に正当な医薬品の使用法は,
今も活きている55年通知に基づいて支払基金による支払いは認められるべきで,
このことは各部署が声を大きくして審査機関に主張しなければならないのだ。


抗菌薬の添付文書に未来はあるか

 確かに,添付文書に従わなければいけない法的根拠はない。
保険診療も55年通知を通しましょう。現段階で私たちにできることはこのくらいである。

亀田総合病院では人院患者に,
我々が世界標準の治療を提供することを情報公開し,
必ずしも添付文書通りに診療しないことを公表していた。

 しかし,問題はすべて払拭されるかというとそうではない。

 55年通知も,「でも,マニュアルに書いてあるから」とマニュアル主義の審査貝にかかってしまうと
無効になること。保険審査は地域差,個人差が大きい。
それに,いちいち55年通知を根拠に再審査を要求しても,
このような煩頊なやり方では,ただでさえ多忙な医療者はますます疲弊してしまう。

 添付文書に法的根拠はない。
しかし,医療訴訟になった時,
どのような資料がどのような目的に用いられるかは私たちには全く予見できない。

 問題なのは「禁忌」である。禁じて忌むという強烈な命令口調を含むこの用語は、
一体誰に対して発信されているメッセージだろうか。
普通に読むのならば,それは処方する医師やそれを受ける薬剤師に対する,
と読むのが普通ではないだろうか。

公文言が「禁じ」ている用法を,いくら患者のためとはいえ用いるのは,
通常の医療者にはとても勇気がいることではないだろうか。

 添付文書を頼りにできないのであれば,一体何を拠り所に私たちは医薬品を用いればよいのだろうか。
各人がそれぞれの「スタンダードを作り上げてしまえば「何でもあり」の世界が出来上がる。
そのような環境で医師間,薬剤師間,そして両者の良質なコミュニケーションが保てるであろうか。
非常に困難と考えるのが普通ではないだろうか。

 添付文書に詳しい「識者」は,添付文書通りに医薬品を用いる必要はないと?く。
しかしそれは,自分は手を汚さなくてもよい場外の評論家だからこそ
言えるのである。テクニカルに大丈夫,というだけでは不十分である。

医薬品は,患者にとっても医療者にとっても安心して使用できるr優しい」ものでなくてはならない。
 やはり,現行の目本の添付文書を許容してはいけない。

この間題点が払拭されない限り,妥当で質の高い感染症診療は不可能である。
では,どうすればよいか。

ただ愚痴らないために

 筆者は塩野義製薬を介して,PMDAに・中枢神経疾患を有する患者に
対するメトロニダソールの与える影響について,
どのようなデータがあるのか。 あれぱすべて開示してほしい。

・メトロニダソールを必要とする患者で中枢神経疾患を 有している場合,
PMDAは代わりに何を使うべきと考 えているのか,対案を提示してほしい。

・もし,「中枢神経に副作用がある」という根拠のみで
中枢神経疾患を有する患者に使用を禁ずるのであれぱ,
 カルバペネムやニューキノロンもすぺて禁忌にすべきではないか。
そうでなければダブルスタンダードとい うことになる。
という疑義照会を行った。

 現状では,岩田という感染症専門家は抗菌薬の添付文書の改訂を陳情する権利を持たない。
添付文書の改訂をする権利を持つのは製薬メーカー以外にないからである。

 抗菌薬とは誰のプロパテイであろうか。筆者は,それは製薬メーカーだけのものではないと思う。
処方に関与する医師や薬剤師,そして許容する患者,すぺての共有財産と考えるべきであろう。

その薬剤の不備がユーザーたる私たちに顕在化されているのに,
その修正をする道は閉ざされている。

他の製造物(車やコンピューター,食品など)では考えられないことである。
筆者は行政訴訟を起こすことも考えたが,
日本では行政訴訟の壁は厚く,大抵の訴状は裁判に至る前に却下されており,
そのほとんども行政サイドの勝訴となっている。

毎年何十万という行政訴訟が行われ,
勝訴率も日本の約2倍というドイツのような国と異なり,
日本人が行政にものを言うパワーは圧倒的に小さい12)。

要するに我々は,なめられ,バカにされているのである。
バカにバカにされるくらい業腹なことはあるまい。

 添付文書改訂の要求はできない。
しかし,疑義照会はできるはずだ。独立行政法人に要求する権利はなくても,
質問する権利はある。彼らには質問に答える義務がある。

 バクトラミン注射液については,以下のような質問を行った。

 感染症の専門家として,本薬剤が「血液障害の既往」や
「アレルギーの家族歴」,「尊麻疹の家族歴」,「発疹の家族歴」
といった漢然たる情報で禁忌(禁じて忌む)であるべき科学的根拠を私は存じません。
患者に気管支喘息があるとバクトラミン注を使用してはならない根拠はどこにあるのでしょうか。

喘息既往のある患者がニューモシスチス肺炎になった時は,
セカンドラインの薬剤の使用を強いられるのでしょうか。

それが患者に最大のアウトカムをもたらすという根拠はどこにあるのでしょう。
「他の薬剤に対する過敏症」が本薬剤の使用をr禁忌とする」科学的根拠はどこにあるのでしょう。

諸外国の添付文書にはこのような禁忌病名
(禁忌とcontrain-diCationは必ずしも同義ではないと私は考えますが,
ここでは暫定的にそのように扱っています)はないはずです。

確かに,これらは医療者に対して『注意を促す』情報ではありますが,
必ずしも使用を禁じる根拠にはならないはずです。

 「禁忌」とは非常に強い言葉です。

診療医や薬剤師はこのような言葉を含む条件下で本薬剤を使用するのを
強くためらうはずであり
,現に私のところにはそのような懸念を現場から寄せる声が上げられています。
彼らに対して,皆様はどのような納得・理解のできる説明をされるでしょうか。

 薬剤とは,製薬メーカーのみのプロパティではなく,
その処方者たる医療者や受託者たる患者のプロパティでもあります。
薬剤が医療者や患者に最大限の利益を提供するぺく配慮するのが添付文書であると私は考えます。
また,医療者や患者の利益を最優先して添付文書を作成するのが独立行政法人たる
医薬品医療機器総合機構の責務であり,

決して総合機構そのものや製薬メーカーの利益がそれらに優先されてはなりません。

もし,そのような根拠が本薬剤の禁忌病名の根拠となっているとしたら
(そうでないことを私は願っていますが),
これは決して許されることではないはずです。

 米国感染症学会(IDSA)と米国病院疫学学会(SHEA)が
2007年に発表した医療機関における抗菌薬適正使用を促すための
プログラム作成に関するガイドライン(GuidelineS forDeveloping an lnstitutionaI Program to Enhance Antimicrobia1
StewardShip)には,
適正使用について,明解に次のように言及しています。

 「抗菌薬適正使用(antimiCrobial stewardship)は,
不適切な使用を制限するだけでなく,抗菌薬の選択,投与量,投与経路,治療期間を最適化し,
感染症の治癒や予防を最大限にもたらすためにある。

そのー方で,耐性菌の出現や医薬品の副反応,
そして出費といった望まない結果を最小限にすることを目指す。
多剤耐性病原体の出現やそのもたらす臨床面でのインパクトを考えると
,抗菌薬の適切な使用は,処方のエラーやアレルギーの発見,薬物相互作用と同様に,
患者安全や品質保証(quality asSurance)の注目するところとなっている。

抗菌薬適正使用の最終的な目標は,つまるところ患者ケアと医療のアウトカムの向上にある」
 抗菌薬の副作用に対して,医療者は最大限の配慮を行い,
その出現を最小限にする責務をもっています。

しかし,最大の目標はr副作用を起こさない」ことそのものではなく,
「患者ケアと医療のアウトカムの向上」にあります。

現行の添付文書では徒に薬剤の使用を制限する要素が強すぎ,
「アウトカム」に結びつくとは私は考えません。
もしそうでないというのであれぱ,それを示すデータが明示されねばなりません。

 PMDAや厚労省に泣き言を言うのはもうやめよう。
どうして添付文書を改訂してくれないんですか,
なんてだだっ子のように言うのはやめよう。
お上何とかしろ,と甘えっ子のように要求するのはやめよう。

泣き言を言うくらいなら,相手の喉元に黙って刃を突きつければよいのである。
もちろん,返り血を浴びるくらいの覚悟はなければならないが。

 最後に,公知申請について付言しておく。
公知申詰は,医療用医薬品について,
承認された効能または効果等以外の使用について関係学会等から要望があり
(ここが肝心),その使用が医療上必要と認められた場合,
臨床試験の全部または一部を新たに実施することなく現行のデータで十分であると
(誰でも知っている,公知であると)認められる場合には,
添付文書の改訂も臨床試験をはしょって可能である,
といういわゆる「二課長通知」である10.13)。

申請は,個人が行うことはできない。必ず学会を通さねばならず,
また,これがうまくいく保証はない。

 そこで提案したい。あなたが加盟している学会(日本病院薬剤師会含む)に
以下のような稟議書を書いてほしい
。多くの医師,薬剤師が同じ目的をもち,同じ方向を向き,
そして同じメッセージを出し続ければ,学会も動くかもしれない。

たくさんの学会が動けば,厚労省もPMDAも製薬メーカーも動く可能性がある。
彼らは悪意の生き物ではなく,基本的には善良な人物達である。
ただし,パブリックの観点からヴィジョンをもち,
自分の意志で行勁する勇気をもたないだけなのである。
根拠と勇気は我々が提供すればよいのだ。

 もう,添付文書が間違っているなんて泣き言を言うのはやめよう。
公知申請で何かが起きるという保証はない。

しかし,現状を説明して,理解して,肩をすくめて唇をゆがめ,
「この問題は難しいのさ,日本は難しいのさ」
と冷笑するくらいなら,現在の価値観ではなく未来の価値観に基づいて
行動を起こす馬鹿者のほうがずっとマシではないか。

 絶対にできないと言われた無農薬によるリンゴ栽培を,
長年の烈難辛苦の末に果たした木村秋則さんを紹介した
「奇跡のリンゴ」という本(幻冬介)の冒頭には,タゴールの詩が紹介されている。

危険から守り給えと祈るのではなく、
危険と勇敢に立ち向かえますように。

痛みが鎮まることを乞うのではなく、
痛みに打ち克つ心を乞えますように。

人生という戦場で味方をさがすのではなく、
自分自身の力を見いだせますように。

不安と怖れの下で救済を切望するのではなく、
自由を勝ち取るために耐える心を願えますように。

成功の中にのみあなたの恵みを感じるような
卑怯者ではなく、失意のときにこそ、
あなたの御手に握られていることに気づけますように。

      タゴール「米物採集」より 石川拓治訳

ピペラシリン添付文書改訂につき公知申請のお願い

 拝啓 新春の候,みなさまにはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てにあずかり,厚くお礼申し上げます。

 さて,この度はペニシリン系抗菌薬,ペントシリン(注射川ピペラシリンナトリウム,大正富山医薬品株式会社)
の添付文書改訂を希望しており,
その手段として貴会を介した公知申請をお願いしたく,稟議書を認めた次第です。

 ご存知のように,2008年に同社からソシン(タソバクタム・ピペラシリン)が発売され,
その最大投与量は海外諸国の事情,pharmaCokineticりpharmaCodynamicS(PK/PD)の
データを勘案してピペラシリン換算で1日16gとなっております。

しかし,これに先んじて発売されているペントシリンの最大投与量は8gであり,
その半量となっているのが現状です。

ご承知のように,諸外国ではペントシリンの最大投与量は16gとなっております。

 通常,添付文書上の妓大投与量を変更する場合は,製造者の巾清,臨床試験,
承認というプロセスを要すると存じます。

しかし,本件の場合,すでにソシンにおいて最大投与量が正当に設定されているのですから,
ペントシリンにおいてこのような経過をたどるのは理に叶っておりませんし,
臨床試験に要するコスト,労働力,患者への負担を勘案すると倫理的とも申せません。

 そこで,対案として厚生省健康政策局研究開発振興課長,
厚生省医薬安全局審査管理課長が平成11年2月1日付に出した研第4号,
医薬審第104号「適応外使用に係る医療川医薬品の取扱いについて」に準じ,
貴会から医薬安全局審査管理課に公知申詰相談を行うことを提案致します。

これにより,既存のデータで医療上必要と考えるペントシリンの最大投与量の
変更の承認を得る可能性があると考えます。

よろしくご審議賜りますよう,お願い申し上げます。

 我が国における抗菌薬の使用に関しましては様々な制約が生じており,
薬理学的に整介性の低い投与法や投与量もその制約の一つであると私は考えております。

臨床現場における感染症診療の質の向上のために,貴会のご尽力を是非とも賜りますよう,
ここにお願い申し上げる次第です。また,この公知申請が成功した暁には重要な前例を得ることができますので,他の抗菌薬についても同様の戦略を取ることが可能になります。

その点からも,本件は目本の感染症診療ト庫要なものであると考えております。

 なお,「司様の察議方を日本内科学会および日本感染症学会に提出しております。
複数の関連学会が同じ方向を向いて大りJな成果が得られることを心から希望する次第です。

敬 具
 本稿の執筆にあたり,亀川総合病院総合診療・感染症
科の山本舜吾氏達,若f感染症医師の詳細な添付文書の
調査記録を許可を得て参照した。ここにお礼申し上げる。

岩田健太郎,日病薬誌 第45巻3号(339-344)2009年より引用 一部改変



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tag : 日病薬誌 抗菌薬

抗菌薬の添付文書はどこが間違っているのか 岩田健太郎,日病薬誌 第45巻3号(339-344)2009年

タイトル通りの日本病院薬剤師会雑誌に掲載されていた文章。
全ての医療従事者(特に医師と薬剤師)に知っておいて欲しい内容。

埋もれさせておくのは非常に惜しいのと、
ものすごい力の入りようなので引用させていただきます。
OCRソフトの不調で5%くらい誤字脱字があるかもしれません。

ここが間違っている,添付文書
 日本の臨床感染症を巡る間題は多々あるが,
そのなかでも特に深刻なのが医薬品添付文書の不適切記載である。
抗菌薬のそれは,特に深刻である。どのようなところに問題があるのだろうか。

投与経路の問題
 ペニシリンGカリウム(ベンジルペニシリンカリウム注射用)は,
日本では筋肉注射しか添付文書上認められていない。 
しかし,感染症の教科書を開けば,ペニシリンGは点滴使用のほうが
むしろ使用価値も頻度も高いことがわかる。
元来,筋注ペニシリン製剤は,ベンザシン・ペニシリンのような
徐放効果のあるものが梅毒の治療などに用いられるためにあるのだ。
半減期が短い現行のペニシリンGを筋注で頻回投与する論理的整合性はない。

筆者は2004年に帰国して以来,ペニシリンGカリウムを点滴以外で使用したことがない。
筋注ペニシリン製剤を積極的に用いる臨床状況があるとすれば,
是非,教えてほしい。

 薬剤とは,使用に足る臨床的なシチュエーションがあって初めて存在する価値がある。
何のために薬剤が存在するのか,このような根源的な思考の仕方が重要になる。
テクニカル(技術的)な手続き論ばかり議論しているから,
添付文書の議論は虚しいものになるのだ。

 ペニシリンGは,感染性心内膜炎など重症感染症でしばしば用いられる。
また,2008年にCLSI(昔のNCCLS)が
肺炎球菌のペニシリン感受性のブレイクポイントを2μg/mLから8μg/mLに引き上げて,
肺炎球菌による肺炎はほぼ全例,ペニシリンGで治療が可能になったI)。

耐性菌対策上も,
ペニシリンのような狭域で強力な抗菌薬の使用を奨励するのは理に叶っている。

投与量の問題
 ゲンタシン(ゲンタマイシン)のようなアミノグリコシドの投与量が,
日本においては諸外国に比べてずっと少ないことはよく知られている。

 例えば,ゲンタマイシンの使用量は,『1~2.5mg/kgを8時問間隔で点滴。
または4~7mg/kgを24時間間隔で点滴』2)と米国の添付文書には書いている。
体重60kgの人物であれぱ,例えば5 mg/kg/日で用いれば1日使用量は300mgとなる。

ところが,日本の添付文占では『1日80~120mg(力価)を2~3回に分割して
筋肉内注射又は点滴静注する』とあり,『司じ体重であれば米国の半量から3分の1程度となる。

アミノグリコシドは濃度依存性の抗菌薬であり,
薬剤血中最高濃度とMICの比である,

Cmax/MICの値が重要になる。
Cmaxを高めるためには1回の投与量が重要となる。

従って,投与総量はその属性を活かすために重要な一要素である3`6)。
日本の添付文書上のアミノグリコシドの総投与量は少なすぎる。

これは,ゲンタマイシン以外のアミノグリコシドにおいても同様である。
トブラマイシンはゲンタマイシン同様の投与量を,
アミカシンであれば15mg/kg/日が諸外国の標堆使用量である。

 ピペラシリンは緑膿菌に効果のあるペニシリン製剤であるが,
通常使用量は1日4g,添付文書上の最大使用量は8gとなっている。

 しかし,2008年から発売されたゾシン(ピペラシリン・タソバクタム)では
最大投与量は1日18gで,ピペラシリン成分では16gとなっている。

ピペラシリン単剤の倍量使うことができるのである。

 緑膿菌に活性のある抗菌薬は,
緑膿菌感染あるいは緑膿菌感染が臨床上強く疑われる時に使用されるべきである。
ピペラシリンを肺炎球菌や大腸菌の感染症に用いるのは臨床的に理に叶っておらず,
「意味がない」。筆者にはどうにも合点のいかぬことであるが,
手術後の創部感染予防にピペラシリンを推奨する専門家がいると問いたことがある。

創部感染でカバーせねばならないのはグラム陽性菌であり,
わざわざ耐性菌が問題である緑膿菌をカバーすることは全く理に叶っていない。
抗菌薬は薬理学的属性だけで考えてはダメで,
いかに臨床現場のなかで理に叶った使用ができるかどうかが,
その「正しさ」を裏打ちするのである。

 話が脱線したが,緑膿菌感染症あるいは緑膿菌感染が強く疑われる場合,

それはしばしば院内感染であり,患者は基礎疾患をもったハイリスク患者であり,
感染症は重症感染症である。従って,緑膿菌感染を治療する時は
最大量の抗菌薬を用いて最人の効果を得るため,
医療者はベストを尽くさねばならない。

ピペラシリンの最大投与量は諸外国と同じく目16gであるべきなのである。

 さて,なぜピペラシリンとそのタソバクタムの合剤で最大投与量が大きく異なるのだろう。
タソバクタムにビペラシリンの副作川阻止効果でもあるというのだろうか。
 本来ならば,ソシンが発売される時にこのような論理的矛盾は排除されておくべきであった。

添付文書作成に関連した製薬メーカー,
医薬品医療機器総合機俳(以下,PMDA),厚生労働省(以ド,厚労省),
臨床試験に関与した専門家や学術団体は,ゾシン承認,発売にあたり
「では,ピペラシリンの添付文書も改訂しましょう」
と言うぺきであったのである。

抗菌薬の専門家であればピペラシリンについて知らないはずはなく,
そもそもゾシンを出しているメーカーこそが
ピペラシリンを出しているのである。
関係諸氏に猛省を求めるとともに,この間題については遠やかに対応するべきである
(対応策については後述)。

適応病名の問題
 『メトロニダソール(フラジール)は偽膜性腸炎の第一選択薬である』と
信用に足る感染症の教科書には書いてある。

また,メトロニダソールは嫌気性菌感染全般,
アメーバ赤痢,ジアルジア感染症(ランブル鞭毛虫感染),
細菌性腔症などたくさんの感染症に活川できる非常に便利な抗菌薬である。

日本にはこの注射薬も存在せず,臨床現場はそのために困難に陥ることも少なくない。

 しかも添付文書上,メトロニダソールの適応はトリコモナス腔症にしかなく,
昨今これにヘリコバクター・ピロリ菌の除菌が加わっただけである。

せっかくの薬もこれではその属性を十分には活かせない。

 その他,適応病名の問題には,
「ノカルジア感染症に対するST合剤の適応がない」といったやや専門性の高いものから,
「結核I尨を含む抗酸菌感染症に対するニューキノロン製剤の適応がない」といった
基本的な領域まで数多く見られる

亀田総合病院の山本舜吾氏を中心に調べたところ,
このような臨床感染症学的に妥当と考えられている適応病名の不適りj記抜は86にも及んだという
(未発表データ)。

なぜ,禁忌?
 このように問題点の多い日本の抗菌薬・添付文書であるが,
筆者が特に問題と弩えるのが,不適切な禁忌疾患である。

 経ロメトロニダソールの添付文言には,『中枢神経に器質的疾患を有する者が禁忌疾患と書かれている。
 確かに,米国の添付文書には「中枢神経症状が出たら薬を中止するよう」
「中枢神経疾患があれば減量をJと記載されているが,
「中枢神経疾患があれば禁忌」とは言いていない(両行の意味は全く異なる)9)。
なぜ,「禁忌」にしなければならないのか。

 また,ニューモシスチス肺炎などに用いるST合剤注射剤(バクトラミン注射液)の添付文書には,
以下のように書いてある。
 ・血液障害又はその既往,アレルギーの家族歴(含本人),気管支喘心の家族歴(含本人),
蕁麻疹の家族歴(含本人),発疹の家族歴(含本人),他の薬剤に対し過敏症の既往

 確かに,ST合剤は皮疹や血球減少という副作川が起きることもあり注意が必要である。
しかし,それを根拠に「蕁麻疹の既往」が禁忌になるのであろうか。
1その家族歴」がr禁忌となる論理的整合性がどのくらいあるというのであろうか。

「注意」や「警告」で十分なはずである。

特にバクトラミンは代替薬の少ない貴重な薬である。

先日,ニューモシスチス肺炎の治療にバクトラミン
を推奨したら,「この患者,蕁麻疹の既往があるので禁忌だから使いたくない」と
ある医師に反駁されたことがある。

不適切な添付文書の記載は,現場における妥当な臨床判断を誤らせる危険性をはらんでいる。

 日本の薬の添付文書の最大の問題点は「禁忌」の不適切記截である。

添付文書は薬物の属性を評価したものであるべきで,
その「価慎観」を勝手に強制すべきではない。提示されるぺきはデータである。

どのような効能があり,どのようなリスクがあるのかをしっかりと明示すればよいのだ。

それをどのように料理するかは,現場の医療者と患者の価値観に委ねればいいのである。
なぜならば,添付文酋の作成者は臨床判断のアマチュアであり,
現場の医療者はそのプロフェツショナルだからである。

開示すぺきはデータである。プレマチュアな(未熟な)
臨床判断を押しつけてはいけない。

岩田健太郎,日病薬誌 第45巻3号(339-344)2009年より引用 一部改変



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ラピアクタに耐性ウイルス出現とワクチンのことなど

感染症研究所と横浜市衛生研究所は2月18日、インフルエンザウイルスA(2009/H1N1)に感染し、
ペラミビル(商品名ラピアクタ)による治療を受けた5歳児から
ペラミビルとオセルタミビル(タミフル)に対する感受性が低下した
H275Y耐性ウイルスが検出されたと発表した。
感染症研究所と全国地方衛生研究所による
抗インフルエンザ薬耐性株のサーベイランスで
ペラミビル投与患者から耐性ウイルスが検出されるのは初めて。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201102/518610.html



抗菌薬、抗ウイルス薬は基本的に使えば使うほど耐性の病原体を増やす確率が上がる。

青木眞Drの「You use it,You lose it」は、
常に考えないといけない問題だと思っているが、
メーカーはおかまいなし。

どんどんラピアクタ使ってくださいとでも言わんばかりの宣伝。

ラピアクタの説明会ではタミフル投与後に亡くなった患者さんの症例が出てきたが、
その症例だけみると「インフルエンザって危ない、ラピアクタ投与しないと!」と
考えるかもしれないが、

実際にその確率を考えてみると去年の感染者が数千万人くらいらしいので、
数千万分の1~数百万分の1。
そのものすごく低いリスクを考えるんだったらラピアクタ投与してショックを起こすリスクも
考えて患者さんに説明しないといけないんじゃないかと思ったり。

ラピアクタやクラビットのような「切り札」こそ
とっておきにしておかないと、後から痛い目に会うのは患者さん。

岩田健太郎Dr、青木眞Drの本やブログなど色々読んでいると、
インフルエンザ簡易キット陽性=抗インフルエンザ薬処方
という診療に疑問を感じる。
学会の方針に従わないと訴訟になったときに医師はとんでもないことになるが、
そこで抗インフルエンザ薬投与しまくっても結局割を食うのは患者さん。

タミフル早期投与が日本の新型インフルエンザ死亡者を減らしたというニュースがあったが、
それは一概に言えないと岩田健太郎Drはブログに書いている。

おおざっぱには、日本における発症患者中の死亡率は10万人に1人、
つまり0.001%程度とされています。アメリカは20倍の0.02%。
相対リスクだけみているとわかりにくいのですが、
インフルエンザはいずれにしても死亡率の低い疾患であることが分かりますね。
絶対リスク減は0.02-0.001=0.019。NNT(number needed to treat)は5200人以上くらいになります。
 つまり、日本人死亡者減の貢献を100%タミフルに帰したというかなり非現実的な仮説を立てたとしても、
5000人以上処方しないと1人の命を救えないのです。

早期受診とか国民皆保険とか、他の様々な要素が絡むでしょうから、現実にはNNTはさらに増えます。
では、タミフルの副作用、耐性、コストといったリスクを勘案して、
この(少なくとも)5000人以上という数字は正当化されるでしょうか。

http://georgebest1969.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-4001.html


内科開業医のお勉強日記にこんな記事もあった。
NHK誤報?煽動記事:迅速診断陰性でも抗インフルエンザ薬使用しろと!
http://intmed.exblog.jp/11961934/

本剤の投与にあたっては,抗ウイルス薬の投与がA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の
全ての患者に対しては必須ではない
ことを踏まえ,
患者の状態を十分観察した上で,本剤の投与の必要性を慎重に検討すること。
2. 本剤は点滴用製剤であることを踏まえ,
経口剤や吸入剤等の他の抗インフルエンザウイルス薬の使用を十分考慮した上で,
本剤の投与の必要性を検討すること。

ラピアクタ添付文書より


と、ちゃんとラピアクタの添付文書に載っているが、
製薬会社は絶対説明会でこれを言わないだろう。

インフルエンザウイルス感染症の予防の基本はワクチン療法であり、
本剤の予防使用はワクチン療法に置き換わるものではない


タミフルの添付文書にも載ってる。

インフルエンザワクチンはワクチンの中では比較的効かないワクチンと言われているみたいだが
それでもワクチンを受けることって重要(特に医療従事者)。

職場でもおたふくかぜのワクチンを子供に打たない人が結構いるけど、
打つのは病院に行く手間と数千円の接種量、無菌性髄膜炎のかなり低いリスク(1/1200?)があるだけ。

実際子どもがおたふくにかかったら子どもがしなくてもよいはずの苦しい思いをして
自分は何日も有給使って職場の人に迷惑かけて、
結局いろいろな面で大損してるように見えた。

そして自分の子供にB型肝炎ワクチンを打とうとしても、
打てる医療機関が簡単に見つからないのが悩み。
僻地だからか?

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