抗うつ薬による下痢の機序

消化現象は腸管の内皮細胞内に存在する腸クロム親和性細胞が
刺激を受けて腸管組織内に5-HTを放出することから始まる。

5-HTの刺激は、5-HT3受容体および5-HT4受容体を介して、
腸管の筋肉に伝わって収縮が増強され、腸管運動が亢進される。

抗うつ薬、特にSSRIやSNRIは強い5-HTトランスポーター阻害作用を有しているため、
腸管組織内に放出された5-HTの再取り込みを阻害し、
シナプス間隙中に5-HTを長時間、高濃度に保持させる。

これにより腸管の蠕動運動が亢進し続け、その結果、下痢が引き起こされる。
三環系抗うつ薬も5-HTトランスポーター阻害作用を持つが、
同時に強い抗コリン作用も有しており、
相対的に下痢よりも便秘の発現頻度が高い傾向となる。

なお、5-HT3や5-HT4受容体の刺激作用に由来する下痢は
発現しても1週間程度で治まるとされている。

三輪 高市,精神系用薬でなぜ下痢は起こるの?,薬局 Vol62 No.3 (370-375)2011より引用



体の中の5-HT(セロトニン)は95%が消化器内に存在しているらしい。
それで抗うつ薬で消化管系の副作用が出やすい。

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tag : 雑誌「薬局」 抗うつ薬

主な抗うつ薬の作用プロファイル一覧

日病薬誌のうつ病特集の記事より

分類 -般名商品名主な薬理作用
モノアミン再取込阻書作用 受容体遮断作用
NA5-HTDAα1α25-HT25-HT3HistMDA
三環系ィミプラミントフラニール++++-++


++++++++
アミトリプチリントリプタノール++++-+++++++
++++++++++
クロミプラミンアナフラニール+++++++±++


++++++++
トリミプラミンスルモンチール++++-++


++++++++
ノルトリプチリンノリトレン+++++-+


++++++
ロフェプラミンアンプリット++--++


++++++++
アモキサビンアモキサン++++++±+


++++
ドスレピンプロチアデン+++++-++


++++++
四環系マプロチリンルジオミール++++--++


+++++
ミアンセリンテトラミド ++ - - + + +++ +++ +++++ ±~+ -
セチプチリンテシプール++--++

+++±~+
SSRI フルボキサミンルボックス
デプロメール
-++++-±±-
++- -
パロキセチンパキシル ++ +++++ + - ± -
++ + -
セルトラリンジェイゾロフト + +++++ ++ ++ + -

++ - -
SNRi ミルナシプラントレドミン +++ ++++ - - -

+ ± -
デュロキセチンサインバルタ +++++ +++++ - - - ±
± ± -
NaSSA ミルタザピンレメロン
リフレックス
- - - ± ++ ++++ ++++ +++++ ±~+ ±
その他 トラソドンデジレル - ++++ - ++
++
++++ +~++
スルビリドドグマチール - - -





++



仲村スイ子,うつ病における薬剤師の役割,日病薬誌 第47巻2号 (176-178),2011


こういう比較って豆知識にはなるけど
実際の薬物療法への生かし方がわからない。

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tag : 薬の比較 日病薬誌 抗うつ薬

抗うつ薬の薬物療法の原則

最近あまり勉強していなかった範囲の勉強。

日病薬誌2月号がうつ病の特集だった。


 抗うつ薬を使用する際の原則は,低用量から開始し、
徐々にその薬の効果と副作用の出現をみながら治療有効用量の下限を
至適用量とする。

Blliniらのメタ解析では,選択的セロトニン阻害薬(以下,SSRI)の増量は
副作用を増悪するだけで効果を高めることはないと結論づけ,
最小限度の治療有効用量での投与を推奨している


また抗うつ薬使用による自殺関連リスクは年齢と逆相関が示されているため、
若年者に対して抗うつ薬を使用開始する際には,
焦燥や自殺念慮の出現など白殺リスクに注意しながら,2週間以内の短期に再評価
を行うのが良い。この再評価の時点で効果を認めていれば
6-9ヵ月間(再発例であればより長期間)抗うつ薬を継続する。

もし,再評価時に効果が認めていなければもう1-2週経過観察をし
,効果がなけれぱ速やかに抗うつ薬の種類を変更(swltch)または
他剤との併用(augumentation)を行う。

もちろん,副作用で忍容できない場合は,
抗うつ薬の種類を速やかに変吏するか,認知行動療法などを行うのが望ましい。

各抗うつ薬における有効治療用量の下限

三環系抗うつ薬

三環系抗うつ薬 75-100mg/day、もしくは125mg/day
ロフェプラミン(アンプリット) 140mg/day

SSRI

フルボキサミン(ルボックス、デプロメール) 50mg/day
パロキセチン(パキシル) 20mg/day
セルトラリン(ジェイゾロフト) 50mg/day

その他

ミルナシプラン(トレドミン) 50mg/day
デュロキセチン(サインバルタ) 60mg/day
ミルタザピン(レメロン、リフレックス) 15-30mg/day
トラゾドン(デジレル) 150mg/day

中川敦夫,うつ病治療のエビデンス・アップデート:薬物療法と認知行動療法を中心に
 日病薬誌 第47巻2号 (173-175) 2011より引用 一部改変



勉強不足だったので、
「抗うつ薬は基本的に最大量まで徐々に増量して、
効いたら最大量を維持する」
という治療が有効なのかと思っていた

増量しても効果を高めることはないという論文があるんだなぁ。
参考文献はこれかな
http://bjp.rcpsych.org/cgi/content/abstract/174/4/297

下限量として設定されている投与量はあまり多く無いから、
副作用も少そうではある。
抗うつ薬は投与量増やすと結構副作用が多くて飲みにくいもんな。

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うつを治す方法(原則+個人的見解)

うつ病にかかって10年くらい経つので、
うつについて勉強したことや体験談をまとめておきます。

私はうつが治った(寛解した)というところまではいっていないので、
信憑性にかけるかもしれませんが
普通に社会生活(学校・仕事)を送れるようになりました。



まずうつ病やうつ状態に対して一般的に効果があると言われている原則

○休む(仕事や学校など)
これが一番難しい。
私はやっていません。

○薬物療法(主に抗うつ薬)
原因の治療にはなっていないから私は薬「だけ」でうつが治るとは思えないが、
薬を他の治療と組み合わせることによって寛解に近づくことができる。
まず気持ちの底上げをしないと、他の治療をする気力がでない。

薬だけでうつは治らないが、
薬がないとうつはものすごく治りにくいと思う。
大きな力になってくれるのは確かだと感じています。

抗うつ薬は種類がものすごく多くて、
どの薬が効くかは人によって違う。
効くかどうか判断するのに2ヶ月~3ヶ月かかるので
薬の選択はある程度長い期間かかると思っておいたほうがいいかもしれません。

抗うつ薬の効果があまり感じられなくて苦しんでいるときは
とりあえずデパスやレキソタンなどの抗不安薬で凌ぐしかない。

そして後のほうにも書きますが、
自己判断での調節は絶対しないことが大切。

自分はいろんな薬を飲みましたが、
一番効いたのはノリトレンという三環系抗うつ薬でした。
ただ、効く薬は人によって違います

○薬物療法(抗うつ薬・気分安定化薬)を自己判断で調節しない。
抗うつ薬や気分安定化薬(デパケンやリーマスなど)は
必ず医師と相談して増減を決めるのが最良の方法です。
自己判断の調節は行っていると薬物治療を困難にするし、
本当に痛い目に会います。
抗不安薬(デパスやレキソタンなど)は調節しても大丈夫だと思います。

○認知療法(認知行動療法)
これは薬と組み合わせることによってかなりの改善が得られると感じています。
「認知の歪み」の修正という原因治療に近いことができる。
個人的にはうつの治療に絶対必要だと思います。
ネットで調べたり本でも学べる。
「自分の感情(思ったこと)が真実ではない」ことに気づくトレーニング。

○運動する
本格的な運動じゃなくてもウォーキング(散歩)などは、
確実にいい効果をもたらします。
科学的に証明されています。

内科開業医のお勉強日記:運動の精神・心理的側面への影響
http://intmed.exblog.jp/459094/

うつなときは本当に面倒だから、
無理せず出来る範囲でやるのが一番じゃないかと思う。
私は全然やっていない・・・。

○人(家族含む)と話す
いろんな本を読んだり、講演などでも言われていました。
うつになると引きこもりがちだけど、
人とのコミュニケーションは大切。

○お酒を(あまり)飲まない
これも本やネットなどでよく言われている。
私も元々お酒が好きじゃないのもあるけど控えています。

○インターネットをやりすぎない
ネット依存とうつの関係があるようで、何度か論文がでています。

インターネット依存の高校生では抑うつリスク高い
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2011/M44080253/

ネットばかりしていても精神的にいいことはないと思う。
私は完全にネット依存ですが・・・。
絶対ダメだと思うのはうつの人がネットゲーム(特にMMORPG)をすること。
嫌なことを忘れて没頭できるのでついつい依存しがちになるけど、
MMORPGは悪影響しかないと思う。

○規則正しい生活を送る(夜更かししない)
うつに睡眠障害(不眠)はつきものなので、
結構自分も不眠で苦しい思いをしましたが、
夕方に抗うつ薬の服用や睡眠薬の調節で、
規則正しい生活を送ることが大切です。

ここまでが一般的にいいと言われていること。
これから個人的な意見になります。

○医師に頼り過ぎない(依存しすぎない)
医師は相談相手ではなく、
薬を選んで処方してくれる存在として考えることが大切。
定期的な受診は絶対必要だけど、
医師がなんでも解決してくれるわけではない。
医師に依存するくらいなら、
認知行動療法の勉強でもしていたほうがいいと思う。

○ギャンブル、株、FXなどを絶対しない
ギャンブル系のことをすると滅茶苦茶精神的に荒らされます。
そして絶対負ける。
ネットオークションとかもやりすぎないほうがいいと思います。

○抑うつ感の波(大きな落ち込み)が来ているときには
抗不安薬で凌ぐ

抗うつ薬を飲んでいても、
時折襲ってくる理由のない不安や落ち込み、変に自分を責める考えは
抗不安薬を服用して押さえ込んだほうが楽。
制限して飲まないより飲んだほうがいいと思う。

抗不安薬を飲むことによって冷静な考えに戻って、
「今の落ち込みは病気のせいだったんだ」と気づくことも多々ある。

過剰服用(オーバードーズ)はいけませんが、
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は非常に安全な薬なので、
ある程度(1回分で効かなかったらもう1回分とか)飲んでも副作用は少ない。
あの「大きな波」は本当に辛いのでそれを凌ぐためなら、
そのくらいの服用は許されると思う。
薬剤師がこんなこというのはおかしいと思いますが辛いものは辛い。
逆に睡眠薬を多めに飲んでも不安の緩和に繋がらないことがあるので、
やめておいたほうがいい。

抗不安薬の副作用でふらついたり眠くなったりするけど、
起きていて自分を責めるくらいだったら寝たほうがいい。
いわゆる「寝逃げ」

○焦らない
ある程度罹病期間が長くなってくるとわかりますが、
焦ってもしょうがない。
病気になったときは病気のことばかり考えて落ち込みのスパイラルになりますが、
病気のことばっかり考えないで今やりたいことを考えるほうがいい。

私はもう病気なのか自分の性格なのかわからなってきましたが、
「どっちでもいいや」と思っています。

病気のことばかり考えていて病気が治るんだったら考えたほうがいいんですが、
そうではないと思います。
それなら自分の好きなことを考えていたほうがいい。



今思いつくのはこのくらいです。

私自身やっていないこともあったりして治っていないのですが、
うつの真っ只中にいるときは
「うつのせいでもう人生終わった」と思っていました。

自分にあう抗うつ薬が見つかったのと認知行動療法を知ったのがきっかけて
なんとか普通に社会生活を送れるようになりました。

うつに対して「魔法の薬」「魔法の治療」というのはありません。
地道に時間をかけるしかないと思っています。

私はうつになったばかりの頃、
「明日の朝起きたらこの嫌な気分がすっかりなくなっているといいなぁ」
と思って毎日寝ていましたがそんなことは1度もなかったです。
一気によくなる治療法はないと思います。

最後にオススメの本を紹介しておきます。
下園壮太,うつからの脱出 プチ認知療法で「自信回復作戦」
(アフィリエイトを避けてGoogle検索です。)

この下園壮太という著者の方が今まで読んだ本の中で
一番いいと感じました。

この方の本なら他の本も役に立つと思います。

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ベンゾジアゼピン系抗不安薬の作用比較表

作用時間力価一般名商品名作用特性
抗不安催眠筋弛緩抗けいれん
短時間型エチゾラムデパス++++++++
クロチアゼパムリーゼ++±±
フルタゾラムコレミナール++±
中時間型ロラゼパムワイパックス++++++++?

アルプラゾラムコンスタン++++±
ブロマゼパムレキソタン+++++++++++
長時間型フルジアゼパムエリスパン++++++±
メキサゾラムメレックス++++±
ジアゼパムセルシン+++++++++++
クロナゼパムリボトリール+++++++++++
クロキサゾラムセパゾン+++
クロルジアゼポキシドコントール+++++±
クロラゼプ酸二カリウムメンドン++±++
メダゼパムレスミット++++±
オキサゾラムセレナール++++±
超長時間型フルトプラゼパムレスタス+++++++
ロフラゼプ酸エチルメイラックス++±++
プラゼパムセダプラン++++


樋口比登実(編),(2010)難治性疼痛の薬物療法,南山堂,pp180 より引用 一部改変

ベンゾジアゼピン系の薬は作用時間の違いだけで
どれも作用は同じようなものかと思っていたが全然違った。
抗けいれん作用を持つBZ系薬が意外に少ない。
デパスはいろいろな疾患に汎用されるが、抗痙攣作用は持っていないようだ。
レキソタン、セルシン、リボトリールは全ての作用を持ち合わせている。

以前の記事に書いたように、
リボトリールの抗不安作用が強いという裏付けが得られてなんか満足した。


2010/11/24訂正
小児の熱性痙攣に対してロラゼパム静注が第一選択と
メルクマニュアルに書いてあったため、
ロラゼパムの抗痙攣作用をーから+++?に変更。
記録間違いではなかったと思うが
今、本が手元にないので確認できない。


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