トラマール(トラマドール)に期待

トラマドールの内服(カプセル)が9/17に薬価収載されて
近日中に発売されるようだ。

注射薬があるので新しい薬というわけではないけど
オピオイド受容体に作用する薬物で、
副作用が少なく神経因性疼痛にも効果があるということで、
期待している。

麻薬でも向精神薬でもないところがいい!

現状ではがん性疼痛にしか適応がないようだ。
がんじゃなくても「軽度から中等度の疼痛」に使えるようになったら、
すごく使いやすくなるのになぁ。

がんじゃない場合の鎮痛薬って何を選択したらいいのか、
判断に困る時があるし。

最近読んでいる本にトラマドールの特徴がまとめられていたので抜粋

トラマドールはオピオイド受容体に作用する鎮痛薬であるが、
μ受容体に対しては中等度の親和性をもつ一方で、
κ、δ受容体にはほとんど親和性をもたないとされている。

μ受容体に対する親和性はコデインの1/10、モルヒネの1/6,000と非常に弱い。

一方、下行性抑制系に対してはセロトニン・ノルアドレナリンの再取り込み阻害することで、
賦活化して、鎮痛効果を発揮する。

内服した場合、Tmaxは約2時間、単回投与時のバイオアベイラビリティは68%
継続投与では90~100%とモルヒネ(30%)のそれよりも高い。
血中半減期は5~6時間、代謝産物は8時間であり、
肝機能や腎機能が低下している患者では、半減期が約2.5倍になる

主な副作用は嘔気、嘔吐、めまい、倦怠感、発汗、口渇、眠気、起立性低血圧である。

他の強オピオイドの副作用と比べてトラマドールが優れている点は、
消化管運動抑制作用が弱く、Oddi括約筋の収縮作用もなく、
消化管症状(便秘やイレウスなど)の強いがん患者への使用に
適している薬剤である。

多幸感はほとんどなく、精神依存を起こす確率は10万人に1人と言われ、
実際に精神依存をきたした人の97%に薬物依存の既往があり、
薬物よりも患者背景によるものが主とされている。

トラマドールを処方する際は、他のオピオイドと同じように
嘔気の副作用対策としてノバミン(プロクロルペラジン)を処方する。

樋口比登実(編),(2010)難治性疼痛の薬物療法,南山堂,pp204-205より引用 一部改変



トラマドールはWHO除痛ラダーの2段階目の薬剤として使用可能。
今までオキシコンチン錠5mgorリンコデしか選択肢がなかったのでありがたい。
リンコデ苦いし便秘するしあんまり使ってないけど。

メーカーに聞いたらオピオイド受容体のパーシャルアゴニストなので
他のオピオイドとの併用はダメらしい
(2010/10/08コメントで指摘していただいたので訂正、
トラマドールはパーシャルアゴニストではなく、アゴニストでした)
オピオイドとの併用は併用禁忌ではなく、併用注意(相加作用)

レスキューは同じトラマドールのカプセルでいいとのこと。

神経障害性疼痛のある人はトラマドールからモルヒネなどに変えるときに、
ノルトリプチリンやSNRIなどのセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬を
併用したほうがよいかもしれない。

半減期6時間もあるのに1日4回も投与必要なのか疑問に思ったが、
米国の添付文書でも1日4回だった。

しかしなんで錠剤じゃなくてカプセルにしたんだろう。
一般的には錠剤のほうが好まれる気がするが・・・。

薬価は25mgが37.7円、50mgが65.9円
用量が1日100~400mgだとしたら1日150円~527円くらい。


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tag : 緩和ケア 鎮痛薬

コメント

非公開コメント

メーカーの者です。

トラマドールがパーシャルアゴニストという説明があったとのことですが、
μ受容体に対しては、他のオピオイド同様に「フルアゴニスト」のはずです。

ただ、先生方でも「パーシャルアゴニスト」と表現することが多々あるので、
その真意をあちこち調査している所でございます。

通りすがりで申し訳ございません。

レスありがとうございます

確かにフルアゴニストですね。
wikipediaにもアゴニストと載っていました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%94%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%89

パーシャルというのはメーカーの方が仰ったような記憶があるのですが、
思い違いかもしれません。

パーシャルアゴニストという言葉を普段使わないのに
勉強不足のまま載せてしまいました。
ご指摘ありがとうございます。
修正しておきます。

非がん性疼痛への適応拡大の早期実現に期待してます!

こんなブログを見ていただいてありがとうございました。

No title

日本で開発は始まった時には、欧州ではカプセルが使われており、カプセルの方が安定性が高いから・・・ということでカプセルでの発売になりました。

そんな事情があったんですか

教えていただいてありがとうございます。

25mg、50mgともに4号カプセルであんまり大きくないので、
そこまで飲みにくいことはないかもしれませんね。

最近やっと当院でも使い始めました。

No title

最近トラマールを使うかもしれない患者さんに出会いました。

トラマールの予防的な副作用対策として、
ノバミンのほかに、
便秘対策もやはり必要ですか。

便秘対策

コメントの返信が遅れてすみません。

私もまだ使用経験がほとんどないので様子見という感じです。

トラマドールは消化管運動抑制作用が弱いということなので
緩下剤の指示をもらうとしたら
調節しやすいラキソベロン液を医師に処方してもらい、
病棟で調節するのもいいかと思います。

まだやったことはありませんが・・・。

No title

教えていただき ありがとうございます。
消化管抑制作用は弱いので、
下剤の選択は調節しやすさで選んだほうがよいということですね。
患者さんと相談してみたいと思います。

トラマドール

緩和ケア病棟勤務経験のある医師です。
最近こちらのブログで勉強させて頂いております、
トラマドールが置いてあるのですか、めずらしいですね。
私はまだクリスピン1号という名前で販売されていた頃、取り寄せて使用した事が
あります。嘔気らしい嘔気は経験しませんでしたが副作用としては知られて
いますので、通常のオピオイド開始時と同様に予防を行なっていました。
便秘は臨床的にはほぼ無視出来ると考えて良いと思います…数例の経験なので
あまり大きな事は言えませんが。
もう少し使われても良い薬だと思いますが、注射のみであったこと、
他に優れたオピオイドが出てきていますので最近は使用を考えた事はありません。

今回の当直のケースは、私はソセゴンで良かったのではないかと思いますよ。
当直帯という人手の足りない時に、わざわざ慣れない薬を使用するのも事故のもと
ですし…p-loopさんも、殆ど経験がないとか他剤との換算にちょっと自信がなさそうな
書き方をされていましたので、尚更。

ずっとソセゴンを屯用で使用し続けるのは明らかに間違っていますが。
トラマドールの筋注や静注に慣れている医師なんて、そんなにいないのではないでしょうか。

余計な事を書きましたが、これからも更新楽しみにしています。頑張って下さい。

丁寧なコメントありがとうございます。

トラマドールは内服を採用すると同時に注射も置くようにしました。

薬剤師的な都合として、
麻薬でも向精神薬でもない薬で患者さんの疼痛緩和を維持できると、
労力の削減につながるので採用のインセンティブがあったりします。

抹茶さんの仰っているとおり、
緊急時に使い慣れない薬を使うことのリスクが大きいことには同意します。

今回の記事は
医師や薬剤師を含め医療従事者に疼痛緩和の選択肢として、
ソセゴン以外のものを紹介したいなと思って書いた次第です。

薬剤師の立場としては
「医師にはベストな選択肢(薬物治療)を選んで欲しい」という希望がありますが
医師は「痛がっている患者さんに対する処置を調べて痛みを長引かせる」よりは
とりあえず知っている方法で素早く痛みを落ち着かせてあげるのが
患者さんのためになりますね。

医師にとっては使用経験があって
安全な方法を選びたいのはもっともだと思います。

便秘対策も手探りなので
トラマドールの使用経験を書いていただいて助かりました。

今回の件は連休で主治医が長期不在時に
前もって指示を貰って置かなかったことも問題でしたので、
薬剤師側の問題もあったと思っています。

いつも読んでいただいてありがとうございます。
コメントは色々考える機会になってすごく有り難いです。
これからもよろしくお願い致します。

No title

はじめまして。
トラマール売ってる会社の営業ウーマンです。

がん以外の適応は現在治験中で(未承認なので大きな声では言えませんが)、今後御期待をという事でお願いします。

でもトラマドール&アセトアミノフェンの合剤も出るみたいだし、ちりょうの幅はますます広がりそうですね。

はじめまして

コメントありがとうございます。

恐縮ながらあまり採用薬がありませんが、
トラマール以外にアズノールなんかも使わせてもらっています。
ほんの少しサーカネッテンも出たりしてます。

トラマールは一時期ほとんど院内処方されなかったんですが、
最近また処方がではじめました。

アセトアミノフェンとの合剤はもうすぐですね。

現在はなぜかリハビリしている患者さんで
神経痛などの合併症の痛みを訴える患者さんが多いです。
そういった例で副作用の多いNSAIDsじゃなくて
トラマドール製剤を試しに投与できたらと思っています。
リリカも劇的に効いてくれることはあんまりないので・・・。

慈恵医大ペイン

偶然、このページを眼にしました。
簡単にコメントを…
オピオイドとは別に併用禁忌ではありません。
併用注意でもありません。(まあ、注意といえば注意ですが…)
対象とする痛みの種類が違う(トラマドールは神経障害性にも有効、オピオイドはあまり効かない)から、併用しても良いです。
また、最近の研究では、トラマドールとフェンタニルとの併用では相乗作用(相加ではなく)が見られるととのことです。
トラマドールについて、さらに詳しくお知りになりたければ、拙論「トラマドール:忘れられた良薬」(緩和医療学: 10: 45-50, 2008
)をご参照下さい。日本語で書かれたトラマドールの総説としては最も詳しく、最も早期に書かれたものと自負しております。

トラマドールのオピオイドとの併用については
中途半端な知識で書いてしまっていました。
記事をもう少しわかりやすく訂正しておきました。

緩和医療学の資料も来週には読んでみたいと思います。

フェンタニルとの相乗効果は全く存じ上げませんでした。
自分の病院ではフェンタニルの貼付剤の使用頻度が多めなので、
今後の動向や患者さんの疼痛の状態をみながら使用を検討致します。

丁寧なコメントをありがとうございます。
カウンタ
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僻地の小規模病院の薬剤師です。


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