ビビアントとエビスタ

骨粗鬆症治療薬のSERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)製剤の2剤目が、
もうすぐ発売されるらしい。

商品名はビビアント(viviant)、名前の響きが気に入った!
語呂がいいというか呼びやすい。
成分名はバゼドキシフェン

閉経後骨粗鬆症の薬についてまとめと少し比較。

ホルモン補充療法

エストロゲン製剤によるホルモン補充療法は、長い間、特に欧米では、
閉経後骨粗鬆症の第一選択の薬物治療法であった。
ホルモン補充療法は大腿骨頸部骨折と脊椎骨折を34%、
他の部位の骨折を23%有意に減少させることが証明され、
強力な骨折予防のエビデンスを有する薬剤となったが、
同時に乳癌と心血管系障害のリスクも増大することが分かり、
高齢期の骨折予防のための長期使用は推奨されなくなっている。

リッチボーン
http://www.richbone.com/medical/select/index.htm



確実な効果があるため、
昔は一般的に行われていたホルモン補充療法が
乳がんの原因になっていたことがわかったようだ。
内科開業医のお勉強日記
http://intmed.exblog.jp/7905758/

結局は骨粗鬆症改善よりリスクのほうが高いとみなされるようになった。
Minds 骨粗鬆症ガイドライン 06年
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0046/1/0046_G0000129_0034.html

その他にも内科開業医のお勉強日記には
胆石、肺がん、卵巣がんなどの、有害事象リスク増加について書かれている

エビスタ(ラロキシフェン)

ガイドライン改訂時には我が国では未承認であったラロキシフェン製剤も
高レベルのエビデンスが豊富であり、メタアナリシスでは、
脊椎骨折において40%の有意な減少が示されている。
ただ、非脊椎骨折では有意でなかった。
本剤は、選択的エストロゲン受容体モジュレーターであるが、
エストロゲン製剤とは異なり、乳腺、子宮に対して拮抗作用を持つため、
エストロゲンと比較して安全性は高くなっている。

リッチボーン
http://www.richbone.com/medical/select/index.htm



エビスタは女性ホルモンのいいとこどりのような薬だと思っているが、
大きな違いは非脊椎骨折(大腿骨頚部骨折など)を
減らすエビデンスが弱いところがある。
Minds 骨粗鬆症ガイドライン 06年
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0046/1/0046_G0000129_0040.html

そして女性ホルモン同様血栓症リスクはあるので卒中リスクが上昇する。
寝たきり高齢者には禁忌。
そもそも寝たきり高齢者に骨粗鬆症の薬を投与しても意味ないかもしれないけど・・・。

内科開業医のお勉強日記:骨粗しょう症薬エビスタは乳がんを減少させるが、致死的な卒中増加
http://intmed.exblog.jp/3945107/

そして抗癌剤のタモキシフェンに比べたら弱いが
乳がんを減少させる効果は確実にあるらしい。
日経メディカル:閉経後乳癌の予防効果はタモキシフェンがラロキシフェンより優れるが副作用はラロキシフェンの方が少なく【AACR2010】
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/news/201004/514951.html

ビビアント(バゼドキシフェン)

10,000名以上の女性が参加した海外第3相臨床試験において、
ビビアントは、脊椎の新規椎体骨折の発生率を
プラセボ群に比べ42%有意に低下させました。
加えて、事後解析の結果、高リスク集団においては、
非椎体骨折の発生率をプラセボに比べ50%、ラロキシフェンに比べ44%
それぞれ有意に低下させたことが認められました。

ファイザー:プレスリリース
http://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2010/2010_07_23.html



エビスタになかった非椎体骨折の予防効果がある薬剤と考えていいんだろうか。
ただ、「事後解析」で「高リスク」と限定しているところが気になるな。
EUで承認をとったもののFDAの承認が遅れていてまだ承認が取れていない。
静脈血栓リスクは依然注意が必要。

薬価は
エビスタ錠60mgとビビアント錠20mgともに132.2円で全く一緒。
一緒ならビビアントのほうがいいような気がするが、
今判断するのは早計か。

EUでは2009年4月に承認されている。

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tag : 薬の要点

コメント

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エビスタとビビアントについて

エビスタは、椎体骨折なしの三年間で新規椎体骨折抑制率55%です。ビビアントにはデータがありません。
また、非椎体骨折の抑制率に関してもファイザーが行った試験でもエビスタに対して有意差なしです。
骨量減少例などの初期段階から、使えるSERMはエビスタだけです。
あまりにもエビデンスに差があり過ぎるお薬ですよ
ビビアントは、承認は母国アメリカでさえされておらず世界で二ヵ国のみです。

コメントありがとうございます。

骨粗鬆症さんの仰る通り、
ビビアントはエビスタに比べてエビデンスが少ない薬剤ですね。

米国の承認もいまだとれていないみたいで、
私の病院でも採用になっておらず、
入院患者さんの持参薬でもビビアントはまだ見たことがありません。

医師からも採用の依頼がないため
もう数年経過をみてから使うかどうか決めたほうが良さそうですね。

貴重なご意見ありがとうございました。

No title

初めまして。
全く素人の私からの質問ですが、ビビアント錠の適応症には「閉経後骨粗鬆症」のみ記載されておりますが、卵巣を摘出した患者は女性ホルモンが出なくらしい事を伺いました。
また、ホルモン治療を必要とするターナー症候群に有効性があるように感じます。
「閉経後」に関しては閉経すると、男(女性ホルモン分泌されない)になるように思いますが、男性には投与はできないのでしょうか?
全くど素人の質問申し訳ありませんが、貴殿の考えをお聞かせ願えば、幸いです。

はじめまして

コメントを頂きながら返信が遅くなり申し訳ありません。

時間がなく、卵巣摘出とターナー症候群については完全に私の専門外の領域のため
回答は控えます。

男性への投与ということですが、
男性は加齢により男性ホルモンが低下しにくいため
骨粗しょう症になりにくいようです。
なりにくいというだけで骨粗しょう症になる方はいますが。

その場合はビビアントなどの女性ホルモンのような薬を使うよりは
ビスホスホネートや副甲状腺ホルモンなど、
通常の骨粗しょう症に使用される薬のが選択されるのではないでしょうか。

男性に女性ホルモン様の薬を投与すると
好ましくない副作用が出現する可能性もあると思います。

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