年齢と腎機能の関係、クレアチニンクリアランスの推定、Cockcroft-Gaultの計算式は正しい?

腎機能に応じて調節が必要な薬剤が処方されたときは
腎障害を概算するツールとして、

日本腎臓学会の日本人のeGFRの表を日常的に参考にしている。

eGFR(男) = 194 * Scr^-1.094 * age^-0.287
eGFR(女) = eGFR(男) * 0.739


この計算式が発表される前はCockcroft-Gaultの式を参考にしていた。

男性:Ccr = {(140-年齢)×体重(kg)}/{72×血清クレアチニン値(mg/dL)}
女性:Ccr = 0.85×{(140-年齢)×体重(kg)}/{72×血清クレアチニン値(mg/dL)}

腎障害時に調節が必要な薬として
ガスター(ファモチジン)、ザンタック(ラニチジン)などのH2ブロッカー
バルトレックス(バラシクロビル)、ゾビラックス(アシクロビル)、
サンリズム(ピルジカイニド)、
リスモダン(ジゾピラミド)、シンメトレル(アマンタジン)、
クラビット(レボフロキサシン)、ゾシン(タゾバクタム・ピペラシリン)などの抗菌薬
などなど・・・。

うちの病院では「重度(重篤)な腎機能障害」と添付文書にある
重度(重篤)腎障害の基準として、Ccr(eGFR)30mL/min未満にしている。
重篤な腎障害に禁忌な薬剤として、ビーフリードなどの輸液、
ティーエスワン、アマリールなどのSU剤、各種NSAIDsなどなど・・・。

あと、フェノフィブラート、ベザフィブラートなどは
CcrではなくてCreを基準にしているので、
年齢に関係ないCreのみで腎機能障害を判定するというのは
かなり疑問を感じている。
ラジカット(エダラボン)もメーカーに問い合わせたら
「クレアチニンが2を超えたら投与しないほうがいいでしょう」
という回答だった。

年齢とクレアチニンや体重からクレアチニンクリアランス(eGFR)を推定する式が
本当に正しいのか、臨床的に確認したことはないのでいつもeGFRの表に頼っている。

そこで感染症診療のエビデンスという本にCockcroft-Gault式の信憑性について
掲載されていたので、ピンポイントで勉強になった。
以下は「高齢者に対する抗菌薬使用量の設定にエビデンスはあるか」の項より
おおよその引用

Cockcroft-Gaultをグラフにして一見すると
「GFRが40歳以降、年1.7mL/min/1.73m^2の割合で直線的に減少」
しているように映る。
ここで注意しないといけないのが、横断的研究の対象高齢者群は
その年齢まで生存したという点において、特異な集団であるという事実である。
つまり、それらの集団から得られたデータは加齢に伴う経時的変化というよりは、
集団の生存者としての特徴、つまり腎障害を起こす疾患の
有病率の高さを反映している可能性が高い
Lindemanの研究の結果、加齢に伴うクレアチニンクリアランスの低下は、
Cockcroft-Gault式から予想されるよりはるかになだらか(年0.75mL/min)
であり、
さらに3割の健常高齢者のクレアチニンクリアランスは
全く減少しないことを突き止めた。

CockcroftとGaultによる研究は249名の血清クレアチニン値の安定した入院患者に限られており、
80歳以上は6.8%、女性は4%で、女性に適応される0.85の係数は筆者らの推測である。

Cockcroft-Gaultの式は高齢者の糸球体濾過量を過小評価する傾向にある

青木 眞(2008)臨床に直結する感染症診療のエビデンス 文光堂 328-329pp



と、なかなか判断に困る内容である。
元々クレアチニンの産生自体が筋肉量に比例するらしいので、
寝たきり高齢者に当てはまるかどうかは疑問だった。
日本腎臓学会の式は上記のような問題も織り込み済みなのだろうか。
時間がないので今日は調べないが・・・。

ここぞというときにはシスタチンCも測定したほうがいいのだろうか。
結局結論は出ないけど、
副作用のリスクが度合いや患者さんの状態に応じて
判断していくしかないのかな。

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2009/02/14
この記事の内容と似たことを
新しい記事にまとめましたので、
こちらを読むと役に立つかもしれません。
http://ploop.blog12.fc2.com/blog-entry-53.html
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