NSAIDsのジレンマ 抗血小板か消化管障害低リスクか

NSAIDsの副作用のなかで、もっとも深刻なのが、消化管障害である。
これこそが、非がん性疼痛においてCOX-2選択的阻害薬を重用する潮流を
生んでいるといえる。

しかし、コキシブ系のCOX-2選択的阻害薬は重篤な心血管障害を示すことがあるので、
十分な注意が必要である。

皮肉なことに、これはCOX-2の示す局所的なPGI2発現調節に起因する。(下図)

NSAIDsの作用

成田 年,山下 哲,NSAIDsならびにアセトアミノフェンの作用機序から考えるがん疼痛治療効果の有用性,薬局 2012,Vol63 No.6 pp2292-2300



NSAIDsのCOX-1阻害作用が強いほど
トロンボキサンA2産生が抑制され抗血小板作用が強くなるというメリットがある。
(高用量になるとPGI2産生抑制により抗血小板作用が弱くなる可能性がある)
同時に胃粘膜のPGE2とPGI2産生が抑制され
消化管障害のリスクが上昇するというデメリットがある。

NSAIDsのCOX-2選択性が強いほど
消化管障害のリスクが低下するというメリットがある。

同時に局所的なPGI2産生が阻害され、
血栓が形成されやすくなると考えられている。

おまけで気になる記述を引用

持続的ながん疼痛の治療には、
セレコキシブ(セレコックス)などのコキシブ系薬剤が
NSAIDsの第一選択薬としての候補になっていくわけだが、
一方でエトドラク(ハイペン)やメロキシカム(モービック)など、
コキシブ系ほどの選択性はないものの
COX-2選択性が高いこれらの薬剤も重用な選択肢となる。

実は、エトドラクやメロキシカムは胃腸障害が少ないばかりでなく、
腎臓・肝臓に対する負担もほとんどないため、
腎・肝疾患を示す患者や末期がんの患者にも適応が可能となる。

さらにはコキシブ系でみられるような心血管障害もほとんどない。
これら2剤は欧米ではCOX-2選択的阻害薬としては分類されていないものの、
COX-2選択性は十分にあり、
副作用が非常に少ないことからもその有用性は疑いようがない。

成田 年,山下 哲,NSAIDsならびにアセトアミノフェンの作用機序から考えるがん疼痛治療効果の有用性,薬局 2012,Vol63 No.6 pp2292-2300より引用一部改変



メロキシカムは半減期が長いため
腎障害リスクが高いと思っていた。

Am J Kidney Dis 45:531-539.
http://213.4.18.135:48080/120.pdf

不使用に比べて腎不全リスクが
ジクロフェナク(ボルタレン)で3.12倍
イブプロフェン(ブルフェン)で2.64倍
メロキシカム(モービック)で8.05倍
ナプロキセン(ナイキサン)で1.89倍

この論文ではメロキシカムは症例数が少ないためか
95%信頼区間が 1.98倍-32.81倍と非常に広くなっている。

もしかすると1.98倍かもしれないし、32.81倍かもしれない
なんとも判断しがたい。

↓医薬品・薬剤師に関するブログランキングです。クリックしていただけるとやる気が出ます。
にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
人気ブログランキングへ

関連記事

テーマ : 薬・医者・病院等
ジャンル : 心と身体

tag : 薬の豆知識 鎮痛薬

コメント

非公開コメント

カウンタ
プロフィール

p-loop

Author:p-loop
僻地の小規模病院の薬剤師です。


twitterIDはploop700
現在、相互リンクと
アフィリエイト依頼は
受け付けておりません。

全記事(数)表示
全タイトルを表示
人気記事ランキング
最新記事
カテゴリ
RSSリンクの表示
月別アーカイブ
タグ

日記・雑記 レビュー 薬の豆知識 ジェネリック医薬品 気になる記事 薬価 薬の要点 緩和ケア 薬の比較 便利 降圧薬 腎機能と薬物治療 鎮痛薬 抗菌薬 漫画 ジェネリック医薬品メーカー 医療用麻薬 インターネット 雑誌「薬局」 利尿薬 アンケート 脳梗塞治療 音楽 調剤 日病薬誌 新薬 ステロイド 薬物動態 android お得 抗うつ薬 喘息・COPD エクセル 輸液 抗不安薬 薬剤管理指導 ローカルドラッグ 糖質制限 院内感染対策 薬の感想 ACCESS 医薬品の価格 糖尿病 病院機能評価 名前の由来 宮崎県北部 ハイリスク薬 お金 薬の管理 腎機能 ボクシング 簡易懸濁法 医療安全 院内感染 ワクチン Android 抗血小板薬・抗凝固薬  育児 テレビ ゲーム 点眼薬 配合変化 

最新コメント
*iphone アプリ 開発
*太陽光発電 ブログパーツ by Google Fan