抗ヒスタミン薬による行動毒性(インペアード・パフォーマンス)

恥ずかしながら最近まで、
抗ヒスタミン薬は副作用に眠気があるため、
自動車の運転などに注意するのだと思っていた。

薬局2010 vol.61 No.5(2010年4月号)に
抗ヒスタミン薬による行動毒性という記事があったので、
この機会にまとめ。

アレルギー性疾患では鼻症状やかゆみなどの症状が、
夜間睡眠障害・日中の眠気、勉学能率の低下、QOL低下
労働生産性低下・欠勤数増加、交通事故増加、
認知機能低下、鎮静作用、うつ状態などを二次的に引き起こす。

抗ヒスタミン薬の多くは、
鎮静作用と認知機能障害(インペアード・パフォーマンス:IP)などの
中枢系神経系への作用、すなわち行動毒性を示し、
アレルギー性疾患症状によって二次的に引き起こされる上述の影響と
まったく同じ影響を引き起こすことが報告されている


抗ヒスタミン薬による行動毒性は、
抗ヒスタミン薬が脳内に移行する場合に起こる。
ヒスタミンは、脳内では覚醒状態や集中力の維持などに
重要な役割を果たしており、
抗ヒスタミン薬が脳内のH1受容体へ結合すると、
ヒスタミンによるシグナル伝達が阻害されるとともに、
H1受容体の活性化も減弱し、鎮静作用や認知機能障害を発現する。

抗ヒスタミン薬の分類については、
製薬会社に属さない科学者や医師で構成されたCONGAというグループが設置された。
CONGAは中枢神経系への作用を有しないこと、
つまり行動毒性をきたさないことを非鎮静性と位置づけ、
1.主観的な眠気の発現
2.認知機能障害の客観的な評価
3.PETを用いて測定した脳内H1受容体占拠率
以上の3つの基準から検討すべきとしている。
3つの基準のうち客観的な評価基準である2と3がとくに重要であると
位置づけられている。

抗ヒスタミン薬のよる眠気と認知機能障害を主観的および客観的に評価し、
求めた発現率について、2つのメタ解析の結果を表1に示す。
行動毒性発現率

フェキソフェナジン(アレグラ)では主観的評価と客観的評価は
いずれも0%であった。
この結果で注目すべきは、評価項目数が多いため数値の信頼性が高いことである。
また、フェキソフェナジンは通常量の3倍の360mgで行われている試験もあり、
3倍量でも行動毒性を示さないということになる。

フェキソフェナジンは、親水性が高く分子量が大きいため
血液脳関門をほとんど通過しないと考えられている。

PETを用いて測定した脳内H1受容体占拠率を図1に示す
脳内H1受容体占拠率
(上記の図は越井クリニックさんのHPの図のほうが見やすいかもしれません)

フェキソフェナジンが最も低く、エピナスチン(アレジオン)、エバスチン(エバステル)と
続いている。
逆にケトチフェン(ザジテン)、ジフェンヒドラミン(レスタミン)、オキサトミド(セルテクト)は、
1日投与量以下でPET試験を実施しているのにも関わらず高い占拠率を示している。
オロパタジン(アレロック)、アゼラスチン(アゼプチン)、メキタジン(ゼスラン)の
PET試験用量も1日投与量の1/2~1/4量で行われている。


~~中略
「行動毒性が比較的少ない、多い」といった観点よりも
「行動毒性があるかないか」という観点がより根本的で重要である。

CONGAの3つの基準での評価を図3に示す。
行動毒性の評価

3つの基準から評価すると
現段階ではフェキソフェナジンが「非鎮静性」の抗ヒスタミン薬として、
最も理想に近いと思われる。

鍋島俊隆 亀井浩行 Ian Hindmarch(2010).抗ヒスタミン薬による行動毒性 -鎮静作用と認知機能障害との違い- 薬局 Vol61 No.5, 164-169より引用 一部改変



なんとなくわかったようなわからないような・・・。
とりあえずアレグラがいいということはわかった。
アレジオンも後発薬があるし、費用に対して行動毒性の少なさは優れているかもしれない。
しかしザジテンの脳内H1受容体占拠率がすごいな。

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