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喘息発作の急性期治療まとめ(β2刺激薬、ステロイド、アミノフィリン)

喘息の急性発作について医師と相談する機会があったのでまとめ。


●吸入β2刺激薬

・効果が出るまで20分ごと3回、その後1~4時間ごとに繰り返す。

・スペーサー付きMDIの頻回吸入とネブライザーでは軽症~中等症の
喘息発作ではその有効性に変わりはないというエビデンスは特筆すべきものだ。

・一番の問題はMDIの使用法をきちんと患者に教育していないこと、
正しい使用法を医師自身がよく知らないこと。
スペーサーを使用せずにただ吸入薬を処方していることなどである。

・実はβ2刺激薬ばかり使用するとdown regulationが働き、
だんだん効かなくなってくる。

ステロイド
・早期ステロイド療法は、
①中等症以上の喘息発作、または②β2刺激薬に反応しなかった場合に、
投与開始するようにガイドラインでは提唱されている。

・早期の効果としては、ステロイド全身投与後数分で現れ、
血管収縮作用により、粘液産生を抑制し、β2受容体のup-regulationにより
β2受容体の感受性を上げる。
β2刺激薬で長く戦うと、β受容体の感受性が落ちて、
β2刺激薬の効果がでにくくなるのに対して、
ステロイドの併用は、β2刺激薬の効果を発現しやすくし、一挙両得である。

経口投与より静脈投与の方がステロイドの効果発現が早いと
信じられやすいが、多くのスタディでは経口投与でも
ステロイドは素早く吸収され、
経口でも静注でも効果発現に差がなかったと報告している。

[Am J Emerg Med, 10(4):301-310.1992]

・ステロイドはそれでも効果発現がβ2刺激薬と比べると遅いので、
ある程度早く投与しておく必要がある。
2時間もかけてゆっくり点滴していたら、
ステロイドの効果はずっと後にしか出てこない。

・コハク酸エステルのステロイド(ヒドロコルチゾン:ソル・コーテフ,サクシゾン)
メチルプレドニゾロン(ソル・メドロール)は
アスピリン喘息の患者では、余計アレルギーを誘発して
悪化してしまうハメになってしまう。
コハク酸エステルのステロイドはワンショット静注するのは
避けた方が無難。

・アスピリン喘息がはっきりしている場合は、
リン酸エステルのステロイド
デキサメタゾン(デカドロン),ベタメタゾン(リンデロン)を
4~8mg点滴すればよい。

・喘息が重症の場合、ステロイドをたくさん投与したほうがいいと
直感的に思ってしまうが、
多くのスタディでは、メチルプレドニゾロンを
80mg,80~360mg,360mg以上と量を変えても、
呼吸機能検査や予後には影響を与えなかったと結論づけている。

●アミノフィリン、テオフィリン

・北米では、救急の治療におけるアミノフィリンの居場所はもはやなくなった。
有効血中濃度と中毒域が近く、
喘息発作時でのアミノフィリン治療の優位性は否定されている。

・β2刺激薬の頻回吸入単独とβ2刺激薬頻回吸入+アミノフィリン注射のスタディでは
効果が変わらないばかりか、アミノフィリンを使用した群では
副作用が多かったと論文が非常にたくさんある。

・メタアナリシスではアミノフィリンの有効性は認められているものの、
[JAMA,259:1678-1684,1988]
現時点での論文の優勢はアミノフィリンを使用しない方が勝っているようだ。

・少なくとも救急の現場で、今までアミノフィリンを常用していない、
使用したことがない患者さんにアミノフィリンを新たに追加使用するのは
理屈に合わない。
今までアミノフィリンを服用している患者の場合には、血中濃度測定は必須であり、
またその静注による追加使用は意味があるであろうと考える。

・日本のガイドラインでは今でもアミノフィリンが記載されており、
愛着がある医師にとっては捨てがたい薬剤であるらしい。

・使用法は5~6mg/kg点滴、またはゆっくり静注しloadingを行い、
その後維持療法(0.9mg/kg/時)とするが、タバコを吸う患者は
その量を増やす必要あり。
テオフィリンを内服している場合には最後の内服から8時間以上経過している場合は
full loading(5~6mg/kg)、
4~8時間以内に内服してきた場合loadingは半分にし、
内服後4時間以内の場合は、loadingしないで維持療法から開始するという目安があるが、
あくまでも目安であり、きちんと血中濃度測定して治療すべき薬剤である。
林 寛之(2006).Step Beyond Resident 2 救急で必ず出会う疾患編 羊土社 64-69ppより引用 一部改変



β2刺激薬の吸入はベネトリンがよく用いられるようだが、
メプチンでも別にいいんだろうか。
メプチンは内服すると意外に半減期が長い(3時間~4時間)薬剤だったりする。
サルブタモールは内服したら半減期1.5~2時間のようだ。
外用なら関係ないのかな。

ステロイドの使用はこの本を読んでから
内服のほうが安全なんじゃないかと思うようになった。
ソル・コーテフ、ソル・メドロールは前述のようにアスピリン喘息には危ないし、
ソル・コーテフ、水溶性プレドニンには防腐剤のパラベンが含まれている。
化学療法学会のページにも記載があった。
http://www.chemotherapy.or.jp/journal/reports/hinai_anaphylaxis_qa.html#shock
内服ならそういう心配をしなくていいのではないかな・・・と。

ステロイドの量についても、
医師によって
「とりあえずソル・コーテフ100mg 1V」
「とりあえずソル・メドロール125mg 1V」
的な指示があるがメチルプレドニゾロンはヒドロコルチゾンの5倍強いので
両者の抗炎症効果の違いは大きい。
ソル・コーテフ100mgならソル・メドロール20mg分しかないと考えていいとすれば
ソル・コーテフはソルメド80mgにあたる400mgくらい投与してもいいな。

アミノフィリンもある程度以上の年齢の医師であれば
「とりあえず」で処方されているような印象がある。
アミノフィリンよりはβ2刺激薬優先なのは間違いなさそうだ。

今回読んだ本がちょっと古いのでまた新しい本を買わないとな・・・。
最近あまり医学書を購入していない。
分野は違うが、
岩田健太郎Drの本(感染症外来の帰還、感染症999の謎)が出たので買う予定。

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ステップビヨンドレジデント(2(救急で必ず出合う疾患編))

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tag : 喘息・COPD 薬の要点 ステロイド

チラーヂンの開始量、調節、効果判定の指標

甲状腺機能低下症でチラーヂンSの投与を受けている患者や、
チラーヂンの治療を開始する患者がいるが、
いまいち認識があやふやなので記録。

原発性甲状腺機能低下症、中枢性甲状腺機能低下症のいずれもT4製剤を用い、
1日1回の内服が基本である。
チラーヂンSの維持量は一般的に1.5~2.5μg/kg/日であるが、
初期量としては12.5μg~25μgから開始し、
2~4週間ごとに12.5~25μgずつ増量する。
とくに高齢者、循環器症状が出ている患者、
長期的に甲状腺機能低下状態の患者は注意する。

適正維持量は原発性甲状腺機能低下症では血清TSHを正常に維持する量である。
維持量に近づいたら、補充量の適否は2~3ヶ月後のTSHで判定する。
最終補充量は甲状腺基礎疾患によっても異なるが、
血清TSHが1~2μU/mL程度に維持されるように
調節するのが良い(50~200μg/日)

また、中枢性甲状腺機能低下症では血中FT4、FT3を指標にコントロールする。
血中TSHを治療量設定の指標に用いることはできない。

横田千津子 池田宇一 大越教夫(編)(2010).薬局2010年3月増刊号 病気と薬パーフェクトBOOK2010 南山堂 602-603pp



病態によって指標が変わることを知らなかった。
まずは甲状腺機能低下症の診断ガイドラインに従って
中枢性か原発性か診断をつけることが必要のようだ。

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tag : 薬の要点

ハナクリーンS(鼻うがい器) レビュー

amazonでハナクリーンSという鼻うがいをするための装置を購入。


5~6年ほど前に慢性副鼻腔炎と診断されて、
鼻づまりに悩まされているので以前から欲しかった器具である。

鼻うがいは有効という論文もあるらしい
内科開業医のお勉強日記:
鼻腔洗浄は、スプレーより、有効で安全で安価な方法・・・だそうで
http://intmed.exblog.jp/6466624/

私が好きな湿潤療法でも
基本的に 「洗浄○ 消毒×」 なので考え方としては同じ方向にある(?)

ハナクリーンSを使った感想は
値段は少し高い(1500円くらいでもいいんじゃないだろうか)と思ったけど、
目的は十分に果たしてくれるし器具自体に不満はない。

単純に微温湯の生理食塩液を作って、
片方の鼻を閉じてもう片方からハナクリーンSを押して、
生食を吸い込むだけである。
ある程度生食を吸い込んだら口に落ちてくる。

次に鼻うがい自体の感想
・しょっぱい。生食でやらないといけないので口にしょっぱさが残る。
鼻うがい後は普通のうがいを念入りに行う必要がある。
微温湯でやったら染みるとネットに書いてあったが、
しょっぱさが嫌だったので微温湯でやったら本当に染みた。
これなら生食のほうがいいわ。
小学校のとき鼻から牛乳を飲んだことがあるが、
あのときは全然染みなかった。
浸透圧が細胞外液と同じくらいなんだろうか。

・手技はそこまで難しくないが最初は口に落ちてきた水を飲んでしまう。
慣れるまで2.3日かかるかな。今は2日目。
鼻うがいしてしばらく経ってから
だらーっと水が落ちてくる場合があるので
ティッシュは近くにあったほうがいい

・鼻うがいしたら黄色い鼻汁が出てくるのである程度は効果がありそう。

慢性副鼻腔炎について
・三環系抗うつ薬を飲むと悪化する気がする。
一時期抗うつ薬を自己中断していた時期があったが調子が良かった。
飲み始めたらまた悪くなった。
三環系抗うつ薬は抗ヒスタミン作用があるから
アレルギー症状には効きそうなもんだが・・・。

抗うつ薬の自己中断はマジで精神的にひどい目にあうのでお勧めできない。


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健康診断時の尿検査で尿蛋白± 心配しなくてもいい?

2年ほど前から社内の定期検診で、
尿検査で蛋白が-ではなく±で判定されるようになった。

健診時の看護師さん達からは
「特に心配しなくてもいいよ。」
と言われていたので気にしていなかったが、
今日何気なくネット検索していたらそれを裏付けるデータがあった。

日本腎臓学会 CKD診療ガイドより
22ページのグラフ

検診時の末期腎不全発症リスク
ESRDというのは末期腎不全のことらしい。



年齢や合併症によるだろうけど、
これを見る限り尿蛋白1+まではそこまで心配しなくていいのかもしれない。

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日常診療での薬の選び方・使い方
日頃の疑問に答えます

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乾燥肌・手荒れの簡単で効果的な治療

最近乾燥肌になって体中のあちこちかゆくなってきた。

乾燥肌には↓のようにワセリンをある程度全身に塗ってタオルで拭き取っている。
http://www.wound-treatment.jp/next/wound351.htm

風呂上がりでまだ濡れているとき、
バスタオルで体を拭く前にワセリンを塗って水分を閉じ込める感じ。

↑のHPでは手が主だけど体中どこに塗っても大丈夫。
リップとして唇に塗ってもよい。

ワセリン自体に保湿作用はないので濡れているほうが効果的なんじゃないだろうか。
最初はべたべたが気になるけど薄くのばして十分拭き取ったらそんなに気にならない。

ワセリンは普通のドラッグストアで白色ワセリン買ってもいいが、
調剤薬局でプロペトかハクワセホワイト買うと安くて品質のいいものが手に入る。
調剤薬局で買ったことないからわからないけど、
処方箋医薬品以外の医薬品なので大丈夫だと思う。
大きい400g~500gのやつ買っても薬価は800円前後。
それでワンシーズンは持つ。

私はサンホワイトP-1という一番純度が高いものを使っているが、
これは医薬品ではなくて化粧品なので少し高い。
楽天のショップで400g3000円くらいで売っている

ワセリンの純度については次の記事に書くことにする。

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